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西鉄社員がドイツに留学中!
社員の多様な働き方を支援する
「ライフキャリア休職制度」とは?

西鉄社員がドイツに留学中! 社員の多様な働き方を支援する 「ライフキャリア休職制度」とは?

入社後の「リスキリング」が話題になっている近年。西鉄では人事制度として「ライフキャリア休職制度」を設け、社員の多様な働き方やキャリアアップを支援している。制度を活用して現在ドイツに留学中の西鉄社員の暮らしを追った。

目次

西鉄の「ライフキャリア休職制度」とは?

西鉄の「ライフキャリア休職制度」は、2023年4月1日に新設された制度だ。勤続3年以上の社員であれば、MBA(経営学修士)取得や大学での学び、資格取得、海外留学の支援に加え、配偶者転勤による転居や不妊治療といった様々なライフイベント時に取得できる休職制度を新設したことで、退職することなく安心して働き続けられる環境を整え、社員の多様な活躍を後押しする。

休職制度を活用してドイツへ留学

東京の総合商社や法律事務所で5年間勤務した後、29歳を迎えた2020年に地元の福岡に戻って西鉄に入社したMさん。入社後は総務部法務総括課で勤務し、会社法や金融商品取引法に関連する業務を担当。2023年4月から都市開発事業本部(現 沿線開発事業本部)ビル・SC事業部へ。オフィスビルの管理や契約更新、リニューアルに関わる手続きに従事した。そして2024年9月、「ライフキャリア休職制度」を活用してドイツに留学した。

フランクフルト市街地中心部のレーマー広場
ドイツと言えば、ソーセージとほくほくのポテト。そしてビール!

Mさんは現在、ドイツの中央部にあるフルダというまちで暮らしている。フランクフルトから電車で約1時間の場所にある地方都市で、中世から栄えた歴史的な街並みが広がっている。

現在住んでいるドイツのまち・フルダの旧市街地を散歩するMさん
交通の要衝となっている「フランクフルト中央駅」。ドイツ最大級の駅のひとつで、ドイツの国有鉄道会社・DBの鉄道網にアクセスできる
フランクフルトからフルダへ向かう途中の車窓
Mさんが暮らすフルダの中心部にある「フルダ駅」
旧市街地の北側にあるまちのシンボル「フルダ大聖堂」

なぜ留学を?

Mさん
Mさん

これまで法務関連の仕事に携わるなかで、「ビジネスと人権」の分野にずっと関心がありました。学問として本格的に学びたいと思うようになり、「会社を辞めるしかないのか」と迷っていたところ、「ライフキャリア休職制度」のことを知って興味を持ちました。

休職して留学することへの迷いはありませんでしたか?

Mさん
Mさん

当時の上司に相談したところ留学を後押ししてくださり、決意が固まりました。快く送り出してくれた同僚にも感謝しています。

なぜドイツの大学へ?

「ビジネスと人権」について学びを深めたいと思っていたMさん。なぜ留学先にドイツを選んだのか。

そもそも「ビジネスと人権」に興味を持つようになったきっかけは?

Mさん
Mさん

世界中、どんな業界であっても、企業が事業を展開する場合には必ず「人権」を尊重する責任が存在します。日本でも、これからさらに事業および労働市場の国際化や、事業および雇用の多様化が進むなか、今まで従事してきた法務の分野でも「ビジネスと人権」に関する知識やノウハウは必要不可欠になっていくと考えられます。いち早くその知識を得ることで、企業の雇用や事業展開、多様な働き方に貢献したいと考えるようになりました。

どのようにして留学先にドイツを選んだのでしょうか?

Mさん
Mさん

勉強したい分野は「ビジネスと人権」と決めていたので、専門的に学ぶのに適した環境がないか、国内外の大学や専門学校を調べました。この分野は日本に比べて欧米諸国が進んでいるので、留学制度や自身の語学力などを考慮したうえで最終的にはドイツの大学にしようと決めました。

ドイツのなかでも、なぜフルダへ?

Mさん
Mさん

私が通っているのは「Hochschule Fulda」(英語名:Fulda University of Applied Sciences )という公立大学で、日本語では「フルダ応用科学大学」と訳されます。一般的な大学より実践志向型である点が特徴で、サイエンスや経営学、情報技術、社会・文化科学など、産業分野に近い学部が設置されています。

「フルダ応用科学大学」の校舎外観
Mさん
Mさん

私が学びたい「ビジネスと人権」について専門的に学べる環境が充実しているほか、学費の負担が比較的少ない点や留学生の受け入れ体制が整っている点を考慮して本学を選びました。

キャンパス内。ドイツらしい建物のデザイン

授業ではどんなことを学ぶのでしょうか?

Mさん
Mさん

私が学ぶ課程は2年・4学期制です。年次が進むにつれて人権に関する基礎から専門へと学びを進め、最終的には日本で言う「修士論文」にあたる論文を仕上げて卒業となります。ただ、論文の提出を含めて2年間しかないので、日々の予習や復習がかなり大変です。カリキュラム自体は2年制ですが、プラス数年間在籍する学生も少なくないと聞いています。

授業は教授によっては座学中心だったり、ディスカッション重視だったりさまざま。例えばヨーロッパ人権裁判所や国際司法裁判所の裁判例を読んで、ディスカッションをしたりします。人権がどのように発展してきたかや、サプライチェーン上の強制労働や児童労働など、企業活動に伴う人権リスクをどう解決するべきかなど、人権についてさまざまな視点から学びます。専門授業はまだ始まっていませんが、人権の基礎からしっかり学ぶことができ、将来実務に活用できると感じています。

1日・1週間のスケジュール

1日の時間の多くを自習時間に充てているというMさん。具体的にはどんな日々を送っているのだろうか。

通学中の様子
Mさん
Mさん

大学から徒歩15分ほどの場所にあるシングルアパートに住んでいます。平日は毎日8時に学内の図書館に行き、日中は週に10コマほど授業を受け、それ以外はだいたい図書館へ。自習環境が整っているので多くの時間を図書館で過ごしています(笑)。閉館の21時ごろまで勉強して帰宅するのがルーティンになっていますね。

【Mさんの1日のスケジュール】(一例)
7:00 起床
8:00 図書館へ
11:40 「ビジネスと人権に関する指導原則」の授業
13:15 学食で友人とランチ
14 : 00 自習室で友人と授業の内容を復習
15:20 「EUにおけるデジタルプライバシー権利」の授業
17:10 「人権とAI」の授業
18:50 図書館へ
21:00 図書館閉館に合わせて学校を出る
21:15 帰宅
24:00 就寝
学内にある図書館
自習中
友人と学内を歩く様子

食事はどうしていますか?

Mさん
Mさん

昼食は学内の食堂を利用することがあります。よく食べるのはサラダバーやプレートランチ。自宅用で使う食材は、大学の近くにあるスーパーで購入しています。

ドイツでは大学食堂を「mensa」と呼ぶことが多い
食堂内の雰囲気は日本の大学の食堂とほとんど変わらない
サラダランチ。サラダバーは100グラムあたり1ユーロ
スーパーで買い物中。

大学での勉学の他、何か挑戦されていることはありますか??

Mさん
Mさん

日本やアジアの人権問題に取り組むNGO団体で、10週間の期限付きインターンシップをしています。団体が人権に関わるレポートを出すための情報をデスクトップリサーチして資料にまとめて提出するなど、リモートでの活動がメインです。

インターンシップに参加したことで、ビジネスと人権について実務的な知識を深めることができました。EUの法令文書などに触れる機会もあり、実務につながる学びも多く得られました。

休みの日の過ごし方は?

Mさん
Mさん

土曜は図書館に行って勉強をすることが多いですが、日曜は山登りをして自然に触れたり、友人と食事をしたりしています。みんなで集まる時は手料理をふるまうことも。ヴィーガンやベジタリアンの友人には、肉なしの肉じゃがや焼きそば、おにぎりなどが好評です。

友人にふるまった手作りの焼きそば

ライフキャリア休職制度を活用して良かったこと

日本と比較して感じる生活や考え方の違いは?

Mさん
Mさん

大学で感じるのは、本当にさまざまな人がいるということです。シリアやケニア、ペルーなど友人の国籍も多様です。宗教や文化の違いに配慮が必要ですし、文化や生活習慣、考え方、価値観がそもそも違うので、自分の常識を当たり前と思わず、常に「全員が違う」と意識することが大事だと感じます。

Mさん
Mさん

生活面での違いもたくさんあります。ドイツはヨーロッパの中でもエコ大国。購入したペットボトルをリサイクルすると決まった料金が返ってくる「Pfand(プファンド))という制度が設けられているなど、環境に配慮した制度が生活に根付いています。その分、元値がやや割高になっているので、ドイツに来てからはマイボトルを持ち歩くようになりました。

Pfund専用のマシンの一例。対象となるペットボトル飲料には、購入価格に0.25ユーロのデポジットが含まれている。ペットボトルを返却すると0.25ユーロが返ってくる
Mさん
Mさん

また、ドイツでは「休むこと」を重視する文化があります。日曜日に大音量で音楽を聴いたり大勢で騒いだり、騒音を伴う行為は法律や地域の条例で禁止されていますし、お休みになるお店も多いので、自宅で静かに過ごす人が多いですね。
周囲にも「休むこと」を大切にしている方が多いので、私がいつも図書館にいるのを見て、友人から「勉強ばかりで疲れない?」「自分の時間は?」と尋ねられることもありました。無理をしている感覚はなかったのですが、価値観を見直すきっかけになりましたね。

留学して良かったところは?

Mさん
Mさん

1日中学問に向き合える環境でいられることです。社会人として働いていたら、これだけ自分の好きな勉強に集中する時間は取れなかったと思います。授業の予習は量が多く、1授業で30ページ以上の文献を読むこともあり、英語や知識の面で時間がかかり、苦労もありますが、それでも、この制度を使って来てよかったと感じています。休職制度のおかげで勉強に集中することができています。本当にありがたいですね。

Mさん
Mさん

ヨーロッパに来てよかったと思うのは、ビジネスと人権にまつわるEU内の最新情報や事例を知り、実務的な内容にも触れられる点です。

今後の人生プランは?

Mさん
Mさん

帰国して西鉄に戻ったら、4、5年の間は実務で経験を積めたらと考えています。ビジネスと人権に関する実務に関わることができれば、自分の知識を生かすことができると思います。これからも会社事業において、利益の追求と人権に対する責任の両立をサポートできたら嬉しいですね。

今思えば、Uターンで西鉄に入社して法務の仕事をしたのが大きなターニングポイントになりました。西鉄で法務の仕事をしていなければ、ビジネスと人権に興味を持つことはなかったかもしれません。西鉄の社員として、これからも活気あるまちづくりに貢献できれば幸いです。

現在の課程を終え、2026年10月ごろに帰国予定のMさん。「ビジネスと人権」分野の知識を生かしながら、西鉄で働く姿を見るのが楽しみでならない。

西鉄の社員の多様な働き方やキャリア形成を支援する「ライフキャリア休職制度」。今後もさまざまな形で活用が広がっているに違いない。

  • Mさん
    Mさん

    西日本鉄道株式会社
    沿線開発事業本部 ビル・SC事業部ビル運営担当

    東京の総合商社や法律事務所で勤務した後、2020年に地元の福岡に戻り西鉄に入社。転職は2回目(所属は3社目)。総務部法務総括課で勤務した後、2023年4月から現部署。オフィスビルの管理や契約更新、リニューアルに関わる手続きを担当。2024年9月からライフキャリア休職制度を活用してドイツへ留学中。

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