全国のスーパーマーケットやコンビニエンスストア、専門店などで販売される商品の中から、特に優れた商品が表彰される「お弁当・お惣菜大賞2023」。
「にしてつストア」からはなんと6つの商品が受賞! 食の専門家で構成された審査員たちが選んだのはどんな商品だった?
「お弁当・お惣菜大賞2023」——。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、専門店などで2022年に販売実績を持つお弁当・お惣菜・サラダ・パンなど11部門の中から、特に優れた商品を選出して表彰するコンテスト。
応募総数は14,286件。食の専門家で構成された審査員により選ばれたのは、最優秀賞18点、優秀賞39点、特別賞6点、入選153点だった。(※公式サイト参照)。
販売期間:2023年2月6日~/店頭販売限定 ※取扱除外店舗あり
秋・冬に五島・対馬海域で獲れる、程よく脂がのったブランド真さば「旬(とき)さば」を使用。わさび風味青高菜を混ぜ込んだ酢飯に、大葉・しば漬けを合わせてさっぱりと仕上げている。
ひと口食べると、まずは大葉のさわやかな香りが口いっぱいに広がる。九州産の甘いしょうゆとすりごまなどに漬けこまれた「ごまさば」はしっかりと脂がのり、ぷりっとした食感が魅力。噛めば噛むほどその旨みが強く感じられる。
1個を食べ終わる頃には、ふっくらやわらかい玉子焼の甘みがやさしく残る。最初から最後までさまざまな刺激や味わいを感じられるのは、寿司ならではの楽しみ。1個、2個とどんどん手が伸びて、あっという間にお皿が空になってしまった!
開発を担当した上田浩史さんは、お惣菜の企画・開発に携わって約30年のキャリアを持つベテラン。実は以前も一度、最優秀賞を受賞したことがあるそうだ。
にしてつストアでは、毎月1回商品ラインナップを入れ替え、約10品程度の新商品を売り場に並べています。この『ごまさば』巻は、「『巻き寿司』で何か新商品を」と考案したものでした。
酢飯に混ぜ込んだわさび風味の青高菜は、以前にしてつストアが販売していたおむすびでも使った食材だった。販売当時、そのおむすびの売れ行きが良く、今回はオリジナルの酢を合わせた酢飯と組み合わせることにした。
ごまさばとの相性のほか、色合い、歯ごたえ、全体の食材のバランスといった観点からも、この青高菜はぴったりでした。
しば漬けを加えることで食感にアクセントが生まれ、さわやかな味わいが、ごまさばの旨みをいっそう引き立ててくれる。
販売期間:2月6日~/店頭販売限定 ※取扱除外店舗あり
鮮度の良い国産の鯖をサクラなどのスモークチップを使って低温で燻して押し寿司に。まず驚くのがこの「燻鯖」の厚み。シャリと変わらないほどふっくらとした鯖は、口に含むとしっとりやわらかな舌触りだ。
スモークでしっかりと閉じ込められた旨みが、口の中でじわりと広がる。
この「燻鯖寿司」、そもそも西鉄ストアが展開する「やりうどん」で販売されていたもの。うどんのサイドメニューとして販売するほか、持ち帰りでも人気だった。
だから開発のテーマは「うどんにも合う鯖寿司」。うどんのサイドメニューと言えば、福岡だと「かしわおにぎり」や「いなり寿司」が定番だが……。
それらに次ぐ第三の名物をつくりたいと、燻鯖寿司にたどり着きました。鯖は食材本来の良さを引き出すために、塩のみで調理しています。酢飯は砂糖、酢、ごまで、こちらもシンプルに。燻鯖の味をしっかりと楽しめると思います。
「燻鯖とうどん」とは思いもよらない組み合わせだが、これが意外と相性バッチリ。サイドメニューとして注文するもよし、おつまみにしてお酒を飲むのもよし。ぜひ「やりうどん」でも味わってもらいたい。
販売期間:通年販売中/店頭販売限定 ※取扱除外店舗あり
「ポテサラ」にケイジャンスパイスという、ありそうでなかった組み合わせ。「けど、結局はポテサラでしょ?」と思った人に、ぜひ一度味わってほしい商品だ。
ごろっとしたジャガイモのほくほく感と、ゴボウのシャキシャキ感がなんとも楽しい。スパイスの風味が効いていて、しっかりと辛さもあってかなり刺激的な味わいだ。おかずにもおつまみにも合う!
スパイスは最初はどのくらいかけるのがちょうどいいのかわからなくて。試行錯誤して、今の量に落ち着きました。ポテサラには厳選した生芋のみを使っています。
通年販売で、お手頃な価格も魅力。日本全国の「ポテサラ」好きにはぜひ試してほしい一品だ。
販売期間:2月17日~2月19日まで/LINE予約限定 ※各店・各日20パック限定
九州産のブランド牛「豊優牛」のもも肉を、香味野菜と塩麹で漬け込んだローストビーフを贅沢に使用。インパクトあるビジュアルに一目で魅かれる、贅沢なお弁当だ。
しっとりやわらかなローストビーフに、さわやかなポン酢のジュレ。玉子焼やオクラなどでちらし寿司風に仕上げられているので、さっぱりと味わえて思わず箸がすすむ。
ご飯にはしば漬け、茗荷、大葉のみじん切りが加えられ、最後までさわやかに味わえる逸品だ。
販売期間:2月17日~2月19日まで/LINE予約限定 ※各店・各日20パック限定
おでんに焼き鳥、ラーメン、餃子。老若男女問わず人気の博多の屋台の名物が、一度に味わえるなんて!
だしがよくしみ込んだおでんは、大根、玉子、厚揚げというラインナップ。焼きラーメンは野菜たっぷりでおつまみ的に楽しめていい。
焼き鳥は、なんと「ねぎま」串! さらには餃子まで添えられていて、これは完全に屋台モードになれる最強の組み合わせだ。
開発を担当したのは、「西鉄グランドホテル」や「ソラリア西鉄ホテル福岡」の総料理長を務めた塩塚哲夫さんだというから驚いた。
永年にわたる調理師としての功績が評価され、2013年度にはものづくりに熟練した技能職者に対して福岡市が認定する「博多マイスター」に選ばれた、まさにトップシェフ。
いつもは多くの観光客でにぎわう福岡ですが、コロナ禍でどの業界も大きな打撃を受けました。地元の観光を支援して、地域に活気を取り戻してもらいたいという思いから、福岡の名物である「屋台」をテーマに今回のお弁当を開発しました。
おでんは九州らしくあごだしで。焼きラーメンにはとんこつ風味のソースを使っている。福岡のラーメンでは細麺が定番だが、時間が経ってもおいしく味わえるように、今回は太めの麺を採用。通常のご飯の量だと炭水化物の割合が大きくなるので、ボリュームをおさえて調整した。
いろいろと計算してつくりましたが、ギリギリの価格設定です(笑)。それでも、食べる方に楽しんでもらい、少しでも福岡のまちの屋台や観光支援に貢献できればうれしく思います。
※原料調達の事情により現在販売休止中
フランス産のフォアグラを握り寿司風にあしらった豪勢なおにぎり。ご飯の味付けには濃厚な味わいと上品な香りが特徴の「アチェート・バルサミコ酢」を使い、やさしい味わいに仕上げている。
福岡県・筑紫野市に本拠地を置く「株式会社西鉄ストア」。展開する店舗はスーパーマーケット「にしてつストア」や「レガネット」、「スピナ」のほか、「あんくる夢市場」、酒類ディスカウントストア「あんくるふじや」などの飲食店事業も手掛けている。
西鉄プラザの飲食店運営事業などの権利業務を分割吸収し、新たな体制で商品開発に臨んでいる。
お弁当やお惣菜などの各カテゴリーを、3、4名のバイヤーが分担して担当。毎月の商品入れ替えに向けて、日々商品の開発に励んでいる。そうしたなか、部署が再編され、昨年新しくできたのが、上田さんや塩塚シェフ、齊田シェフが所属する「商品企画部」だ。
上田さんは、お惣菜の開発に約30年間携わってきた「お惣菜のプロ」。15年前に入社した「西鉄ストア」ではバイヤーとして、商品企画のほか食材の仕入れも担当してきた。
1カ月ごとに商品を入れ替えて、売上をチェックする。その結果を見て商品を企画して、店頭のラインナップを変更する。この繰り返しなので、1年中ずっと新商品のことを考えています(笑)。
商品の入れ替えを判断する基準は?
販売数をベースにしています。シンプルに言えば、季節商品を除き、売れない商品はどんどん入れ替えていくってことですね。
シビアな世界だ……。開発で大事なポイントはありますか?
食材の旬や暦ごとのイベントは常に意識するほか、話題の食材やメニューにも常にアンテナを張っています。また、にしてつストアは地域性の強いスーパーマーケットなので、福岡や九州産の食材を積極的に取り入れるようにしています。
最近売れるのはどんな商品ですか?
男性に向けたボリューム感のある商品や、女性向けの小ぶりの洋食弁当など、ターゲットを絞り込んだ商品が売れています。商品のネーミングも大事ですね。わかりやすく、食欲をそそるキャッチコピーがあると、手に取ってもらいやすいのでしょう。
仕事の魅力は?
毎月新商品を開発し続けるのは簡単ではありませんが、考えながら手を動かしているのはすごく楽しい時間です。開発した商品は、私にとってはみんなかわいい子どもたち。だから、売り場に新商品を送り出すときは、わが子を見送る親の気持ちです(笑)。
株式会社西鉄ストアの商品本部兼商品開発部付の齊田和彦さんは、「にしてつストア」の商品開発強化のために「西鉄グランドホテル」から出向中のホテルシェフだ。
今回の大会では「スパイス香る ごぼうポテサラ」「特製ローストビーフを贅沢に乗せた薬味ちらし寿司」「フォアグラを乗せたバルサミコ風味のおにぎり」と、開発した3商品が各賞に入賞した。
ホテルから商品開発という異業種への出向は、めずらしいケースなのでは?
前例はなく、私も最初はびっくりしました(笑)。ホテルの料理人としては長く勤めてきましたが、ホテルとスーパーではまったくの別世界です。提供する料理はもちろんのこと、食材の仕入れ先も大きく異なりますから。
ホテル時代には和・洋・中と幅広く担当してきたので、お惣菜やお弁当のメニューを考えるのにはこれまでの経験も十分生かされていると感じます。
ホテルでの経験はどのように生かされていますか?
例えば「スパイス香る ごぼうポテサラ」は、ホテルのレストランで提供していたフライドポテトがヒントになりました。ケイジャンスパイスで味付けしたフライドポテトがお客さまに好評だったので、同じ「ポテト」なら「ポテサラ」にも合うんじゃないかと。
なるほど。
ローストビーフは、漬け込みの時間や火入れの温度、寝かす時間まできちんと管理して、きれいなロゼ色になるように焼き上げています。ホテルでは定番の不動の人気メニューですね。
昨年導入した高性能の冷凍庫のおかげで、おいしさを閉じ込めたまま多くの食材を保存できるようになりました。冷凍した商品とそうでないものを食べ比べたのですが、私たちでもわからないくらいの違いでした(笑)。
「ローストビーフ=洋食」のイメージでしたが、このお弁当は「ちらし寿司」なんですね。
一般的にお弁当と言えば「和」の商品が多く、ニーズも高いのですが、ローストビーフならうまくバランスが取れるのではないかと考えました。
現在はどんな業務を担当しているのでしょうか?
にしてつストアでは、これから特に冷凍食品の開発に力を入れていこうと考えています。「西鉄グランドホテル」のブランド力を押し出した商品も販売したいということで、塩塚シェフといっしょに商品企画を進めています。
開発中の商品をいくつか教えてください!
牛すね肉を使ったビーフシチューや鶏もものコンフィなど、「西鉄グランドホテル」でも好評だった料理です。ホテルでは高級なイメージがある洋食を、もっと手軽に楽しんでもらいたいと私たちは考えています。今年の春以降、準備ができ次第販売を開始するのでお楽しみに!
※撮影した商品の容器は撮影用に準備したものとなり、販売時とは異なります。
株式会社西鉄ストア
商品本部 兼商品開発部
西鉄ストアに2007年入社。店舗や生鮮センターでの勤務を経て、長年惣菜バイヤーとして従事する。「お弁当・お惣菜大賞2017」にて「彩りピースおにぎり」がおにぎり部門最優秀賞を受賞。
株式会社西鉄ストア
商品本部 兼商品開発部 シェフ
西鉄グランドホテルに2000年入社。ソラリアホテル勤務などを経て西鉄グランドホテル「ラ・カスカドゥ」副料理長を経験。2021年より西鉄ストア専属シェフに就任し、惣菜開発に携わる。氷の彫刻で西日本コンクール金賞、全国大会優秀賞なども獲得している。
株式会社西鉄ストア
商品本部 兼商品開発部
西鉄グランドホテルに1975年入社。西鉄グランドホテル、ソラリア西鉄ホテル福岡の総料理長を務め、西鉄ストアでは2021年からシニアアドバイザーとして活躍。昨年から新設された「商品開発部」で冷凍食品の開発などに携わる。ものづくりに熟練した技能職者に対し福岡市より認定される博多マイスターに認定されている。
株式会社西鉄ストア
商品本部 商品開発部 課長代理
兼 フード事業本部 営業第一部 商品開発課 課長
レストラン事業部で「レストランプラザ」や「ぎおん茶屋」等、数々の店舗を歴任後、商品開発担当に。