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有料老人ホームってどんな所?
西鉄の高齢者住宅サンカルナ西新
ささやかな感動ストーリー

有料老人ホームってどんな所? 西鉄の高齢者住宅サンカルナ西新 ささやかな感動ストーリー

西鉄には、展開する住宅のブランドがいくつかある。そのうち、有料老人ホームのブランドが「サンカルナ」、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)のブランドが「カルナス」だ。

「有料老人ホーム」や「サ高住」って、最近たまに聞くけど、いったいどんな生活をしているんだろう?

エヌカケル編集部は、福岡市早良区西新にある住宅型有料老人ホーム「サンカルナ西新」へ向かった。

目次

「サンカルナ西新」入居者のリアルなクチコミ

入居者・吉田さんのこれまでの人生

支配人の尾上充さん(左)、入居者の吉田肥五さん(右)

支配人の尾上充さんは、住宅事業部で長年営業を担当していた。約9年前からは、「サンカルナ」など高齢者向けのブランド担当に。築2年の「サンカルナ西新」には、立ち上げの段階から携わってきた。

尾上さんが紹介してくれたのは、入居者の吉田肥五さん。「サンカルナ西新」に入居して約1年になる吉田さんは、薄いブルーのシャツに、グレーのジャケットを羽織っていた。品が良く、スマートな着こなしが印象的だった。

吉田さんは、これまでどんな人生を歩んでこられたのでしょうか?

吉田さん
吉田さん

私は、以前は裁判官をしておりました。

裁判官!

吉田さん
吉田さん

引退してもうずいぶん長いのですがね。裁判官になるまでも、いろいろありましたよ。まあ、もう90過ぎですからね。

90過ぎ! 昭和何年のお生まれなんですか?

吉田さん
吉田さん

昭和3年生まれ。今、94歳と10カ月です。

まさか94歳だなんて思わなかったので驚きました。とてもお若いですね!

吉田さん
吉田さん

ありがとうございます。

1928(昭和3)年生まれの吉田さんは、熊本県荒尾市の出身だ。

18歳の時に戦争で海軍兵学校に入学し、出征することはないまま終戦。その後、一般企業に勤めたが、ある時新聞で「裁判所職員募集」の記事を見て応募し、簡易裁判所の事務職からスタートした。

書記官補を経験したのちに試験に合格し、研修を経て簡易裁判所判事に。福岡や熊本、鹿児島など、九州各地で仕事に就き、70歳で定年し引退した。

吉田さんが「サンカルナ西新」に入居した理由

吉田さんが2歳年下の奥さまと出会ったのは、戦後すぐの会社員時代。奥さまは当時郵便局に勤めていて、お見合い結婚だった。

1男1女をもうけ、子どもが成人して家を出てからは奥さまと2人で暮らしていた吉田さん。日々平穏に過ごすなか、異変を感じたのは約10年前——。お2人が80歳を過ぎたころだった。

吉田さん
吉田さん

「友達のところへ出かけるから、何か手土産を買ってきて」と妻が言うので、天神まで出かけてお菓子を買い、妻に持たせました。

それを持って出かけたはずなのに、相手に渡さないまま家に持って帰ってきたことがあって……。渡すのを忘れていたのでしょう。そんなことが何度か重なり、「おかしいな」と思いはじめました。その後、認知症と診断。妻が80歳を過ぎたころでした。

奥さまはデイサービスに通い始め、掃除や洗濯、料理などの家事はすべて吉田さんが担当した。

それから数年間にわたり、自宅で献身的にケアを続けたが、奥さまは2019年、89歳の時にサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)へ引っ越すことに。吉田さんは、一人暮らしとなった。

吉田さん
吉田さん

掃除も洗濯も料理もすべて1人でこなしていましたが、いろいろと大変でしょ。それでも、老後に建てた大好きな自宅でしたし、それなりに元気に過ごしていました。
ただ、年齢的にも子ども達は心配ですよね。子どもたちの薦めもあってこうした住宅を探しはじめて、「サンカルナ西新」に出会ったのです。

入居の決め手は?

吉田さん
吉田さん

まずは、見て回ったなかで、いちばん建物や調度品が立派でした。
それに何より一番は、スタッフさん、特に受付のみなさんがすごくいい方ばかりでね。いつも受け答えがていねいで、笑顔が明るくて。

そうだったんですね。

吉田さん
吉田さん

私は、天神に行ったりお散歩に出かけたり、毎日外出するのが日課なんです。妻が施設に入り一人暮らしだと、出て行く時や帰ってきた時に「いってらっしゃい」とか「おかえりなさい」とか、誰も言ってくれないでしょ。

でも、ここの受付のスタッフさんたちは「少し肌寒いですが、お気をつけて」とか、「今日もお元気ですね。いってらっしゃい」とか、心配して必ず声を掛けてくれるんです。

だから、それがものすごくうれしかったですね。感激でした。やっぱりさみしかったんですね。

吉田さん
吉田さん

その「いってらっしゃい」や「おかえりなさい」が私の元気のもとで、心の支えです。毎日明るい気持ちで、安心して過ごすことができるんですよ。

以前住んでいた自宅に戻ることはもうないと思いますが、今でもそのまま残しています。処分するのも、なんだかさみしくてね。

妻のことで落ち込んだ時期もありましたが、ここに来て、本当によかったですよ。スタッフさんたちのおかげです。

吉田さんのその言葉を聞いて、初めて気づいた。

特別なイベントや感動的なストーリーなんて必要ない。日々のささやかな喜びや幸せのほうが、人生を豊かに、意義あるものにしてくれる——。

「日常」をいかに大切に過ごすかが大事なんだと、吉田さんが教えてくれた気がした。

吉田さんの「サンカルナ西新」での楽しみ

そんな吉田さんに、「サンカルナ西新」での楽しみを聞いてみた。

吉田さん、施設の中で特にお気に入りの場所はありますか?

吉田さん
吉田さん

そりゃあ、何と言っても大浴場ですよ。広くて大好きです。部屋にもお風呂はあるんですけどね。でも、私は毎日かならず16時に行って「一番風呂」をいただくのが習慣になっています。その後、食堂でビールを飲んだりすれば最高です。

気持ちよさそうですね!

吉田さん
吉田さん

あと、最近、「ベター友」ができました。

「ベター友」って何ですか?!

吉田さん
吉田さん

「エレベーター友達」のことですよ。食堂に行く途中、時々エレベーターで顔を合わせるご婦人がいるんです。世間話を一言二言交わすだけですが、それがちょっとした楽しみになっています。

なんと! すてきな出会いがあるんですね。

「サンカルナ西新」に来て1年の吉田さん。新しい生活にすっかり馴染んでいきいきと過ごされている様子や、暮らしを満喫している姿に触れて、インタビューした私たちのほうが、なんだか励まされて元気をもらった。

尾上さんに質問です。吉田さんのお話ではスタッフさんの対応がすばらしいとのことでしたが、マニュアルや方針などがあるのでしょうか?

尾上さん
尾上さん

マニュアルと言いますか、入居者の方々へのお声がけは、なるべく頻繁にするよう伝えています。あいさつひとつからでも、相手の体調やご様子などがわかるからです。

なるほど。

尾上さん
尾上さん

一般の住宅やマンションでは「夢」を売りますが、高齢者向けの住宅で売るのは「安心」と「信頼」だと考えています。

そのためには、時間をかけて、丁寧にコミュニケーションを重ね、信頼関係を築くことが重要です。入居されてからも、ずっと顔を合わせて過ごす“家族”のような存在ですから。

吉田さん
吉田さん

私も入居した時から、尾上さんには随分お世話になっています。ここのスタッフの方々は、笑顔が多くてほんとうに親切ですよ、支配人を筆頭に(笑)。

尾上さん
尾上さん

ははは、ありがとうございます。

なんだかほっこりしたお2人の雰囲気……!

インタビューを終えた吉田さんは、尾上さんとスタッフさんに見送られながら自室のあるフロアへとエレベーターで降りて行った。

「サンカルナ西新」ってこんな場所

地下鉄空港線西新駅から徒歩約2分。高級マンションのような外観と、スタイリッシュな入り口。

受付とロビーは明るく開放的。シンプルなデザインと造りなので、オフィスビルのような雰囲気も漂っている。一方、受付のスタッフさんはアットホームで温かな対応で、すっかり緊張が解きほぐされた。

最上階14階の「スカイラウンジ」。


中に入るとそこは……

絶景! かっこいい!

ホテルのようなスタイリッシュなデザインに、周辺の景観が見渡せるパノラマビュー。


ここが「老人ホーム」だなんて……!

「サンカルナ西新」館内はまるでホテル

入居者の方々はどんな場所で生活を送っているのか。支配人の案内で、館内を特別に見学させてもらった。

地上14階建で、1・2階にはスーパーと雑貨店が入居する「サンカルナ西新」。3階にはラウンジや大浴場などの共用施設。4階には介護専用居室20室があり、5階から13階には一般居室113室となっている。

※家具はすべてモデルルーム用

お部屋は一般居室と介護居室があり、体調に合わせた生活ができるよう配慮されている。訪問介護や協力医療機関との連携で介護・看護環境が整備されていて安心だ。

玄関や廊下が広く、浴室などもバリアフリーの設計になっているほか、コンセントやスイッチの高さにまで、高齢者が利用しやすい工夫が施されている。

逆に言えば、それ以外は、ごく普通の新築マンションとほぼ変わらない。正直に言って、うちより広くてきれいだ……!

各部屋に浴室はあるものの、人気なのが3階にある大浴場。毎日16時から利用できる。女性湯のほうが全体的に広く、パウダースペースもゆったりとした造りで使いやすそうだ。

最上階の14階には入居者専用の展望レストランやスカイラウンジ、多目的ルームなど、専門のデザイナーが手掛けた贅沢な空間が広がっている。

「展望レストラン」は、複数人で使えるテーブル席やソファ席のほか、1人掛けでゆったりと食事ができるテーブルも設けられていた。

朝食は和洋2種類から選べ、「フレンチトースト」が人気。ほか、ランチ、ディナーに加え、豊富なアラカルトから好きなメニューを注文できる。

旬の食材を使った季節のメニューや、特別な日にはグレードアップされた食事も提供される。こんなレストランが自宅にあるなんて、うらやましい!

プライベートダイニング

予約制の「プライベートダイニング」では、予算や要望に応じたコース料理を楽しむことができる。家族での集まりや数人での食事会にぴったり。

多目的ルーム

多目的ルームは、説明会やレクリエーション、セミナーなどに利用されている。毎朝の「ラジオ体操」の会場もここ!

他にも、館内にはカラオケ付きで完全防音の「AVルーム」やサークル活動ができる「カルチャールーム」に「娯楽室」、予約制の「ビューティーサロン」など、無料で使える共用施設が完備されている。


その上、1階にスーパー、2階には生活雑貨店となると、建物から一歩も出ずに、たいていの暮らしが成立するのでは……?!

「サンカルナ西新」を取材してわかったこと

取材前は、洗練されたデザインや充実した設備など、ハード面のすばらしさばかりにとらわれていた。

たしかに、きれいな共用部や快適な部屋は大切な要素だけど、ちょっとした声かけや共用部での出会いなど、館内で関わる「人」との交流こそが、「安心」や「信頼」につながるのだと実感した。

日々のちょっとした出来事が、1日1日を彩る「贅沢」になる。そんなきっかけを提供してくれるのが「サンカルナ西新」だった。

取材後、エヌカケル編集部の全員が「将来両親を入居させたい」または「むしろ、自分が住みたい!」と口々に感想を述べた。

吉田さんをはじめ、多くの入居者ファンがいる受付のスタッフさんたちは、そんな私たちも最後までやさしく見送ってくれたのだった。

  • 吉田 肥五さん
    吉田 肥五さん

    2022年4月よりサンカルナ西新へ入居。

  • 尾上 充 さん
    尾上 充 さん

    西鉄ケアサービス株式会社
    サンカルナ西新 支配人

    1988年、西日本鉄道株式会社に入社。入社後は鉄道事業本部にて車掌・駅務に従事。その後、住宅事業本部販売課にて住宅の販売を担当。2014年7月より西鉄ケアサービスへ出向後、サンカルナ西新の立ち上げから携わり現職に至る。

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