数多くのお客さまが買い物に訪れる、福岡市天神のファッションビル「ソラリアプラザ」。西鉄が運営するこの施設の中には、施設の管理・運営を担う「ソラリアプラザ運営室」が設けられている。いったいどんな仕事をしているのか?まちのにぎわいの舞台裏をのぞいてきた。
九州一の繁華街として知られ、大規模な再開発が進行中の福岡市・天神。その中心部で1989年に開業し、幅広い世代に愛されてきた複合商業施設が「ソラリアプラザ」だ。
ファッションやフードホール、レストラン、映画館など多様な機能が集まり、120店舗のテナントが入居するソラリアプラザ。館内では10代からシニア層まで幅広い世代が行き交うのが特徴で、観光客や地元客など日々多くのお客さまでにぎわっている。
そんな館内を巡回する「ソラリアプラザ運営室」のスタッフを発見!
施設がきれいに、そして安全に保たれているかどうか、日々欠かさず巡回してチェックをするのが彼女たちの仕事のひとつだ。
福岡・天神の中心で働くその姿は、すごくキラキラしててかっこいい。
彼女たちの働く「ソラリアプラザ運営室」って?
「ソラリアプラザ運営室」は、具体的にはいったいどんな業務を担っているのだろうか。西日本鉄道株式会社 都市開発事業本部の小山栞さんと佐藤碧さんに話を聞いた。
「ソラリアプラザ運営室」にはどんな仕事があるんですか?
運営室で働くメンバーは現在は13名。主にテナントとの契約ごとや、売上管理など行う「営業担当」、売上向上や集客のための販促施策を立案しイベントの企画などを行う「販促担当」のほか、施設の日常点検や大規模修繕などを行う「施設担当」やテナント売上金の確認を行う「経理」、店長会議などの調整ごとを行う「総務」の担当で構成されています。
小山さんと佐藤さんの業務は?
私は運営室に配属されて2年目で、最初の年は販促をメインに経験。現在は営業チームでテナントとの契約業務や報告資料の作成を担当しています。また、各階ごとに「フロア担当」が決まっていて、館内のにぎわいを一緒に作ってくださる各テナントとのコミュニケーションを取るのも大切な仕事のひとつです。案内業務や救護など、お客さまと接する機会も多いですね。
私は2024年に入社して、7月に運営室に配属されました。メイン担当は営業ですが、各チームの業務をサポートしながら運営室の業務について勉強中です。「ソラリアプラザ」は昔からよく買い物に来ていた大好きな場所なので運営に携わることができて嬉しいです。
年間を通してどんな動きがあるのでしょうか?
大きな動きがあるのは、12月のクリスマスイルミネーションと、1月の「ゴールデンバーゲン」(初売り)をはじめとする販促イベント。
さらに、新生活がはじまる3月から4月、ゴールデンウィーク、夏休みなど、人が動く時期に合わせて「10%ペイバック」や「nimocaポイント10倍デー」といった実売系の企画を実施しています。
それに加えて、ポップアップ区画では期間限定で店舗に入ってもらい、旬の企画で、お客さまに新鮮さやトレンド感を感じていただけたらと考えています。
日々のスケジュールはどんな感じ?
担当業務を中心にデスクワークをしながら、館内巡回やお客さまやテナントからの電話受付、各テナントの店長が集まる「店長会議」、各テナントからの相談を受け付ける「カウンター業務」などさまざまな運営室業務を並行して進めています。
勤務は9時30分から18時30分。土日も含めたシフト制です。例えば、1日のスケジュール例を挙げてみるとこんな感じです。
9:30 出社 テナント向け売上速報の発行
9:45 朝礼 前日の売上を運営室で共有
10:00 フロア巡回 館に異常がないかを確認
11:00 デスク業務 電話対応・カウンター対応も同時並行
12:30 休憩 従業員休憩室で食事
13:30 店長会準備
14:00 店長会 月に1回実施
15:00 デスク業務 電話対応・カウンター対応も同時並行
18:30 退勤
1年の締めくくりとなる12月のクリスマス。ソラリアプラザ運営室でも、クリスマスはもっとも注力する年間イベントのひとつだ。2023年、運営室配属1年目だった小山さんは、販促チームの一員としてクリスマスの販促企画を担当した。
まずはコンセプトと広告に使うキービジュアルを決めるところからプロジェクトが始まります。イベント企画の提案などをしてくれている西鉄エージェンシーの担当者とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていきます。時流やトレンドを意識したテーマを設定してそれに合わせたビジュアルを作りこんでいきます。
特に大変だったことは?
他の販促イベントなどもあり、クリスマスイベントの準備期間が短くなってしまったのですが、その中でもキャッチコピーやビジュアルに出てくる洋服の質感など、細かいところまで議論を重ねていきました。決めることも多く、大変ではありましたが、自身の意見が反映されていくこともあり、それが楽しいところ。苦労でもあり、やりがいでもあります。
キービジュアルと同じく欠かせないのが「クリスマスツリー」です。ソラリアプラザの名物的な存在でもあり、毎年バージョンアップしています。2023年はフォトスポットも設置して、来館者により楽しんでもらえるよう工夫しました。
さらに、5,000円以上のお買い物ごとに1回ガチャを回せる「SOLARIA PLAZA XMASギフトガチャ」も実施しました。グルメガチャは過去に実施したことがあったのですが、同じだとおもしろくないし……といろいろ考えて、テナントに交渉して景品を集めることにしました。
特賞はなんと、韓国旅行券10万円分ペアチケット!西鉄旅行さんに協力してもらいました。当選したのは若いカップルのお客さまとご家族連れの2組。とても驚いた様子で、笑顔で帰ってくださいました。そんな光景を見ると私もうれしくなるし、エネルギーをいただけます。こんな場に立ち会えるのは施設内に運営室があるからこそですよね。
今年もクリスマスツリーの設置はもちろんのこと、楽しいイベントを沢山ご用意しています。私もクリスマス期間にお客さまでにぎわう館内を見るのが楽しみです。
2023年の35周年のタイミングも、小山さんが企画に携わっていた。
どんな企画を実施したのですか?
創業月となる3月をアニバーサリーマンスとして、毎週末に楽しい企画を用意しました。「10%ペイバック」や「プレミアムお買い物券販売」などの実売系のイベントの他に、LOVE FMと協力して実施したアニバーサリーライブでは館内のテナント出店によるフードエリアも特設しました。
また、「国際女性デー」に合わせて「フェムケア」をテーマにした企画を実施しました。専門的で、ターゲットが限られたナイーブなテーマ。商業施設が扱った例はほとんどなかったのでかなり迷ったのですが……。天神のファッションビルとして、ソラリアプラザからメッセージを発信したいと思い、実施を決めました。
テーマは「初めてのフェムケア」。ただチラシを配るだけではなかなか読んでもらえないのではと思い、サンプリングを実施することにしました。
1階の「レ トロワ コラボ チョコレートショップ」さんにはオリジナルのフェムチョコを。3階にある「@aroma」さんには香りのサンプルをそれぞれ用意してもらって1階で配布。チラシを見て、興味を持って店舗に立ち寄ってくださったお客さまもいたようで、手応えを実感できました。
販促業務で大切にしていたことは何ですか?
販促の仕事では、かなりたくさんのイベントを企画することになります。常に「旬」や「新しさ」が求められるので、プライベートで他の商業施設に出かけるときもアンテナを張るようになりました。
いずれの企画も、テナントの協力なしでは実現できないことなので、日々コミュニケーションを取って良い関係を築いておくことが重要だと思います。でもそれだけではなく、やっぱりフロアに出ると明るい気持ちになれるし、エネルギーをもらえるんですよね。フロアを巡回した後はいつも「よし、頑張ろう!」って。
いつもフランクに、店舗ファーストで接してくださる小山さん。会社が主催するロールプレイング(接客)大会にも応援に来ていただいたことがあります。小山さんの笑顔のおかげで、いつも通り平常心で頑張れました。
大会に呼んでいただいたこと自体、すごく光栄でうれしかったです。人通りが多いエレベーター横に店舗を構える「PAGEBOY」さんは、フロア全体を明るくしてくれる大切な存在です。
業務で苦労したことは?
苦労したことと言えば……。私は入社1年目だったこともあり、最初は急病人の手当てで戸惑いました。ある時、館内を巡回中に、ソファで動けなくなっているお客さまを見つけたことがありました。いつもは先輩と2人なのに、その時に限って私1人……。上着を羽織らせてあげたり、お飲み物をご用意したり、とにかく心配で、少しでもお役に立てればと必死に行動するのみでした。
数日後、お客さまが直接訪ねてきてくださり、お元気な様子で本当に安心しました。また、「親切にしてくださってありがとう」とお礼のお手紙までくださり、今でも大切に保管しています。
やりがいや働きがいを感じるのはどんな時?
お客さまの声を直接聞くことができるのは、運営室で働いているからこそ。昨年9月、初めてソラリアプラザの「ファンミーティング」を実施した際に、その喜びを実感しました。
ミーティングでは、事前アンケートに答えてくださった11人に集まってもらい、ソラリアプラザに関するクイズを実施したり、施設内での思い出や好きなところについて語っていただいたりしました。
好きなところで一番意見が多かったのは「お手洗いの香りが良い!」。実は、ソラリアプラザ3階に入っている「@aroma」さんにご協力いただき、定期的に香りを変えているんです。私も昔から意識していたことだったので、「同じように感じてくださる人がいたんだ!」とうれしい気持ちになりました。
そのほか、「もっとたくさんイベントを開催してほしい」といったご意見もいただけるなど、お客さまの声を直接聞けて私たちにとっても良い機会になりました。
それぞれのエピソードを披露してくれた小山さん、佐藤さん。施設の中にある運営室ならではの苦労や大変なことがある一方で、それらが働きがいや喜びにつながっていた。
1987年まではアイススケート場や大相撲九州場所の会場として親しまれ、1989年に新しい都市生活のライフスタイルを提案する複合商業施設として生まれた「ソラリアプラザ」。2015年4月の大改装を経て、コロナ禍は一時的な売上の落ち込みがあったものの、2020年3月の「天神コア」閉館後の有力テナントの受け入れなど、定期的なリニューアルを重ねてファッションビルの鮮度を保ってきた。
インバウンド需要の回復などもあり、2023年度には大改装以来過去最高の売上高183億円を達成。今後は天神ビッグバンによって再開発が進む天神地区の「ファッション」を支え、トレンドやカルチャーを発信する場としての期待がさらに高まっていく。
ソラリアプラザは、私にとってこれまでも今も憧れの場所。ここで働けるということに誇りを感じています。長年ファンだった経験を生かして、お客さまの視点を持ちながら施設をより良くしていきたいと思っています。
コロナ禍を経て、豊かさに対する価値観や消費行動は大きく変化しました。それまで当たり前だった家族や友だちとの買い物や食事が制限されていたなか、コロナ後に改めて「リアルの場」の強さを実感しました。
変わりゆく天神のまちの5年後、10年後を見据えて、現在リニューアルを計画中です。今後はさらにお客さまとのタッチポイントを増やし、トレンドの発信地であるとともに、幅広い世代の人にもっともっと愛される施設になれたら。
時代に合わせて進化を続けていくソラリアプラザ。
これからのリニューアルもお楽しみに!
西日本鉄道株式会社
都市開発事業本部 ビル・SC事業部 ソラリアプラザ
2022年入社。福岡出身。1年目はSC統括担当で「オ・ボルドー・フクオカ」でワインの輸入業務や店内業務を経験。1年後、ソラリアプラザに配属となり販促を担当。2024年からは営業へ。
西日本鉄道株式会社
都市開発事業本部 ビル・SC事業部 ソラリアプラザ
2024年入社。熊本出身。高校時代、初めてソラリアプラザに来て以来、天神へ遊びに来るたびにソラリアプラザに通うファンに。入社後、研修を経て7月に念願のソラリアプラザ運営室に配属。