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世界中で物流事業を展開している西鉄の「国際物流事業本部」。「NNR GLOBAL LOGISTICS(以下、NNR)」のブランド名で知られ、26カ国・地域、117都市(2025年4月時点)のグローバルネットワークを強みとしている。
そこで、年に1度だけ開かれる「世界会議」があるという。「世界会議」の全貌とは?福岡で開催された会議の様子を取材した!
本部のある東京を中心に、北南米、欧州、アジア、オセアニアなど、世界各国に拠点を構える西鉄の国際物流事業本部。そのリーダーたちが各国から集まる定例会議、通称「世界会議」は、西鉄グループにとって重要な会議を対面でおこなえる貴重な機会だ。
参加者のなかには、日本から海外現地法人へ出向している社員もいれば、海外拠点の外国籍の社長や社員も。メインの会議ではプロの同時通訳が入りながら英語・日本語で進行され、最大では参加者100名を超える規模のグローバルな会議だ。
各拠点の報告や指針発表の場としてはもちろんのこと、世界各国のコミュニケーションを円滑にし、グループの結束を確認する行事としての役割も大きい。
2025年の世界会議は、2025年5月26日~30日の5日間。ワンビル開業に合わせて福岡での開催となった。「社長研修」や「ローカルマネジメント研修」などが開かれた初日は、ワンビルで開催。ワンビルに移転したばかりの西鉄本社のオフィス見学会も実施された。
スケジュールを見ると、参加者全員が集まる「全体会議」のほか、現地法人の社長が参加してガバナンスなどを学ぶ「社長研修」やマネージャークラスが参加する「ローカルマネジメント研修」、2、3拠点ずつのグループで具体的な話し合いをする「個別会議」など、さまざまな場が設けられているのがわかる。
【5月26日(月)】
「世界会議」初日に開催された、「社長研修」「ローカルマネジメント研修」「本部戦略会議」。この日は、2025年4月に開業した西鉄グループの拠点・ワンビル6階にある「ONE FUKUOKA CONFERENCE HALL」が会場となった。
社長研修:現地法人社長に対して、ガバナンス強化等を目的とした研修を実施
開始時刻が近づくにつれ、続々と会議室に集まってくる現地法人の社長たち。雑談したり、名刺交換をしたりと和やかな雰囲気だった。こちらは研修開始前のワンシーン。国際色ゆたかな顔ぶれなのがわかる。
国際物流事業本部の社員がガバナンスのルールや各国の状況を発表。世界のNNRのトップたちの鋭い視線が発表者に集まる。
質疑応答では、各国のガバナンスに関する具体的な質問・意見が交換されていた。
ローカルマネジメント研修:海外のマネジメント層に対して、今年度から取り組むプロジェクトについて意見を交換する。
グループワークが組み込まれた「ローカルマネジメント研修」は、「社長研修」に比べると終始和やかなムード。研修開始前は、名刺交換をする人や再会を喜び合う人など、互いに積極的にコミュニケーションを取る様子が印象的だった。
研修で議題となったのは、NNRのブランドイメージについて。海外で西鉄グループのブランドを確立するためにお客さまにアピールできるNNRの魅力とは?を議題に5つのグループに分かれてアイデアをまとめ、グループごとに発表した。
ジェスチャーも使って意見を述べ、自然と誰もが口を開く。ディスカッションの雰囲気そのものがグローバルだ。
中長期の戦略や業績説明などを行う本部戦略会議:中計やグループの方向性を伝える。
午後からの「本部戦略会議」では、西鉄グループの2024年度の決算報告やNNRの今後の経営計画などが発表された。ちなみに2024年度のグループ全体の売上高では、物流部門が占める割合は全体の31%。国際物流事業本部の存在は、グループ内でもかなり大きいと言える。
国際物流事業本部の代表を務めるのは、西鉄の専務執行役員・国際物流事業本部長の宇髙圭一さん。
スタート前には新しく拠点の代表に就いたメンバーが紹介された。一同が顔を合わせる貴重な機会。「緊張しています」と話す初参加者も。もちろん会話はすべて英語だ。
営業企画部の池田浩子部長、斎間祥邦課長が会議の進行役を務めた。
また、この日の夜は、「ソラリア西鉄ホテル福岡」で懇親会が開かれた。西鉄からは倉富純男会長と林田浩一社長も参加。各国の社長や社員と交流を深めていた。
【5月27日(火)・5月28日(水)】
全体会議:各現地法人ならびに国内営業部による、今年度の予算達成に向けた取り組みを発表。
各拠点の代表がスライドに資料を投影しながらプレゼンテーションを実施。
会場前方は海外チーム、後方は国内チームが着席。各日約120名が参加した。
各拠点の業績報告や年間計画進捗を共有する全体会議。拠点ごとに発表+質疑応答の時間が設けられ、休憩を挟みながら9時から18時までしっかりと続く。
【5月29日(木)】
・個別会議:各現地法人や国内各営業部が、各々の協力関係や戦略を強化する会議
【5月30日(金)】
・グループ戦略会議:航空貨物、取り扱い品目、デジタル戦略、海運貨物について、グループディスカッション形式で議論をしたり講義形式で情報共有する会議
世界会議の参加者のなかには、日本から出向している社員もいれば、海外拠点の外国籍の現地の社長、社員もいる。そのうち4名に、世界会議について聞いた。
世界会議へ参加は何回目ですか?
私は3回目ですね。
私は初めての参加で、少し緊張しています。
私は過去に数回参加経験があります。
私もですね。
他の拠点の方との話題で、印象に残ったテーマは?
やはり関税ですね。メキシコはアメリカと陸続きなので、アメリカへの自動車輸出がかなり大きな割合を占めています。関税に対してどのようにアクションしていくかは、世界各国の共通の課題なのだと再認識しました。各拠点の発表を聞いて大変参考になりましたね。
NNR北京では最近セールスに活用できる情報システムを購入したので、そのシステムについて尋ねられたり、情報交換をしたりすることが多かったですね。
世界会議に参加して得られた収穫は?
違った市場で違った戦略をとっている他の拠点の発表を聞くと、自分では気づかなかった視点や考え方に触れることができ、アイデアや気づきにつながります。
いつもはメールだけのやりとりで「こんなお顔かな?」と想像していたみなさんと実際にお会いできて、今後はさらにコミュニケーションがしやすくなると思いました。
Face to Faceのミーティングを経て、今後のやりとりもしやすくなりますよね。
今後NNR北京が推進したいプランがあり、会議前に各拠点とメールベースで相談をしていました。「個別会議」ではそのことについてみなさんとしっかり対話できるので、かなり有意義ですし、ビジネスのスピードも上がると感じています。
また、個人的には、世界の物流業界のトップを走るみなさんにお会いできて、とても刺激になりました。「私もこんな場で活躍できる優秀な人材になりたい!」と、気持ちを新たにしました。
毎回学びとなるのは、他の拠点の成功事例を知り、吸収して活かしていけることですね。例えば今回は、DX化の推進などはとても参考になると感じました。トップダウンではなく、こうした会議の場でボトムアップ式に意見が出てきてひとつになっている。みんなの声が反映されるので、それがNNRの魅力につながっていると思います。
他社の発表から得られる学びはもちろん、世界会議を通して西鉄グループの理念や方針、ガバナンスについて理解を深めることができます。ガバナンスについて学んだ初日の「社長研修」では、特に気づきが多かったですね。このスタンダードを、インド社でもっと根付かせたいと思っています。
その通りですね。会社が大きくなるにつれてコンプライアンスの重要性は上がっていく。私もシン社長とともに「社長研修」に出席して、すべての従業員が理解すべき内容だと思いました。私たちの仕事はリスクと隣り合わせですが、常にルールに立ち返りながら、もしスピードが出すぎていたら正常に戻す必要がありますよね。
ガバナンスがしっかりしている面は、NNRのカルチャーだと思います。通常、英国だと2年ほどで転職をする人が多いなか、NNR英国では勤続平均が9年なので、比較的長い。コンプライアンスを受け入れやすい環境にあります。
今回は初めてワンビルでの開催となりました。ワンビルや西鉄のオフィス、いかがでしたか?
いやぁ、すごかったですね。会議室はできたばかりの洗練された空気感があり、快適な空間だと思いました。西鉄本社のオフィスも見学させてもらいましたが、1フロアが広い!
本社オフィスは、とても近代的な印象を受けました。以前上海で見た大手の日系企業のオフィスよりすごくて圧倒されました。もし私がワンビルで働くなら、空間に合わせて洋服を全部買い替えないといけないですね(笑)。
私も感銘を受けました。オフィスはオープンエリアが多く、従業員同士のコラボレーションや交流が生まれやすいと思いました。緑で包まれたリラックスペース、すごくいいですよね。
私もリラックススペースが気に入りました。あそこで仕事したいですね。英国社も本社建て替えを計画中で、卓球台やジムなどを置く計画をしています。ワンビルほどピカピカにはならないでしょうけど(笑)。魅力的なオフィスでないと優秀な若手が集まりませんからね。
福岡を訪れるのは何回目?
日本には25回。福岡にはうち10回くらいかな。
日本には15回くらいで、福岡には5,6回かな。
5、6回目ですかね。2年前の世界会議や社内のイベントで来る機会がありました。
私は初めてです。北京で営業にあたる際は「福岡に行けば、バスも電車も、商業施設もホテルも全部西鉄ですよ」とお客さまにお伝えしていましたが、今回はその光景を目の当たりにしましたね。
私が連れてきた若手社員も、西鉄バスの多さにびっくりしていました。世界会議で福岡に来れば、「西鉄」ブランドの強さを実感できますね。
観光はしましたか?
福岡と言えば「屋台」ですよね。食べ物なら、博多のひとくち餃子と明太子入りのだし巻き卵もお気に入りです。芋焼酎も好きですが、ロックだと強すぎるから水割りで(笑)。
会議後の懇親会やその後の飲み会でのコミュニケーションも大事ですよね。思えば入社した約20年前は、「会議以外の雑談や懇親会がとても重要なんだ」と、当時の本部長から教えてもらったものです。
ということは、今回の会議後も飲み会へ?
もちろん。
海外からみたNNRの強みは?
日系企業への信頼度は特に高く、ブランド力が伝わります。
私は「人のにしてつ」と言われるきめ細やかなサービス精神だと思いますね。昨今、海外のスタッフは在宅勤務を好む傾向にありますが、それだときめ細やかなサービス精神や柔軟性が失われるのではと危惧しています。
また、NNRは業界内ですごく評判がいいんですよ。「NNRで働いている」と話すと、「いい会社だね」とよく言われます。顧客へのサービスの質が一段高いことが業界で知られているからでしょうね。
インドでも同じですよ。NNRの従業員に対する「信用」や「信頼」が構築されていると実感します。彼らのレベルが高いことは業界内では周知のこと。なので、競合他社が従業員を引き抜こうとしているケースもよくあります。即戦力になる人財だからです。
また、今回の会議では、次世代のリーダー育成についても話し合いました。NNRの各拠点から優秀な若手1名を1週間、日本に派遣することなども話しました。今年度中にスタートして、来年度には2回。若手のモチベーションアップになると思います。これから私たちが注力すべきは、次世代のリーダー育成ですね。
同感です。これからはこれまで以上に人財育成に力をいれて、よりよいNNRの未来をつくっていきたいですね。
1週間にわたって開催された西鉄国際物流事業本部の「世界会議」。濃密な研修や会議で得られた知見や情報、人脈をもとに、これらの西鉄・NNRブランドがつくられていく——。緻密なグローバル戦略と「にしてつの人財」が生み出すきめ細やかなサービス力を糧に、世界にはばたく国際物流事業本部。今後の展開にも引き続き注目していきたい。
NNRメキシコ 社長
2005年入社。日本で営業の経験を積んだ後、2015年にシンガポールに営業として配属。その後、2020年にメキシコに移り、オペレーションゼネラルマネージャーとして勤務。2023年4月より現職。
NNRインド 社長
2006年10月に入社。2016年4月よりNNRインド社の社長に就任。2021年には「most excellent company」として西鉄グループより表彰を受けた。
NNR北京 営業管理部 シニアアシスタント
2013年入社。大連支店で営業アシスタント業務の経験を経て、社内営業管理部設立後、営業管理ディレクターの専属アシスタントに。得意な日本語を使って営業チーム全体のサポート及び顧客対応に従事する。
NNR UK、ポーランド、チェコ共和国 社長
2004年の入社以来、イギリス・ロンドンを拠点に活躍。2019年に社長となり、2020年初頭のコロナ禍の際にはヨーロッパ圏内で危機管理のリーダーシップスキルを発揮するなど、欧州エリアをリードする存在。
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