Nishitetsu Online Magazine

切り花?雛鳥?半導体?
実はこんなものも運んでる!
世界の物流を支える西鉄国際物流

切り花?雛鳥?半導体? 実はこんなものも運んでる! 世界の物流を支える西鉄国際物流

世界の国と地域、123都市(2023年11月末時点、日本を除く)に物流拠点を持ち、「NNR」(Nishi-Nippon Railroad Co.,Ltd.の頭文字)として知られている西鉄の国際物流事業本部。拠点の場所がさまざまなら、取り扱っている貨物もバラエティに富んでいる。

詳しく調べて行けば、もしかして世界の物流事情が見えてくる?! 世界旅行気分で西鉄国際物流の取り扱い貨物をチェックしてみよう。

目次

西鉄国際物流の各国の取り扱い貨物の特徴は?

西鉄国際物流の拠点

海外の西鉄国際物流では、どんな貨物を取り扱っているんだろう?

西鉄国際物流事業本部の担当者から2023年1月~3月の取り扱い品目の集計データについて話を聞いてみると、いくつか気になるモノを発見!一つずつ順番に見てみよう。

■フランス

ヨーロッパで気になったのが、航空輸出の「雛鳥」!
一体なぜ、フランス社では雛鳥の取り扱いが多いのか?!

国際物流事業本部の担当者に聞いてみると、「意外かもしれませんが、フランスは欧州でも有数の農業国なんですよ。それもあってか、日本ではあまり聞き慣れないのですが、雛鳥の輸出も当社では取り扱っています」と語る。

生後1日の雛鳥を輸送する必要があるため、取り扱いは熟練した専門チームが必要となるそう。

「フランス社の「live animal」チームの強みは、そのマーケットに完全に特化している点です。特別な倉庫を持ち、暖房、隙間風からの保護、出発前の雛鳥への水分補給などのサービスも提供しています」

と担当者は話す。

※イメージ

なるほど、こうして聞いてみると、生き物を運ぶことって本当にデリケート。

国際物流のプロフェッショナルである西鉄の腕が光る一面だ。

■台湾

続いて台湾。
台湾社では航空輸入においては半導体用部品が多く、航空輸出ではIC(集積回路)や半導体製品の取り扱いが上位となっている。
半導体を使う代表的な製品といえばスマートフォン。

※イメージ

半導体などのパーツは台湾や韓国、日本、中国などで作られ、それらを中国やインド、ベトナムなどで組み立ててから、最終的にスマートフォンとなって世界へと出荷される。

※イメージ図。
 実際の物流においてはこの限りではありません。

つまり、台湾では、輸入した半導体用部品を国内の工場で加工し、ICや半導体製品として輸出しているため、台湾の半導体業界は世界的に有名なのだ!そのため、台湾社でも半導体関係の製品の取り扱いが多くなっている。

■メキシコ

次はメキシコ。
航空輸送では、輸出入ともに「自動車部品」の取り扱いが上位を占めている。この理由は、「自動車産業が盛んで大手メーカーのあるアメリカと、地理的に近いため」だという。

※イメージ

コロナ禍以降、輸入された自動車部品をメキシコで組み立て、アメリカに輸出して製品化されるニアショアリング(※)が始まっている。

※ニアショアリング:既存の事業拠点から地理的に近い近隣国に事業を移転すること

以前は中国や日本、タイなどで部品を組み立てた後、アメリカに輸出していたが、物流が滞った場合、部品の供給に影響がなるべく出ないように、人件費などコスト面でも折り合う隣国のメキシコで部品の組み立てを担い始めるようになった結果、メキシコ社では自動車部品の取り扱いが多くなっているそうだ。

※イメージ図。
 実際の物流においてはこの限りではありません。

■アメリカ

一方、アメリカ社では、航空機関連の部品の輸出が多いのが特徴的だ。

「世界中の航空機には、自動車の車検と同じように定期的な整備が実施されており、厳しい安全基準に基づいて検査を進めるなかで、部品の交換が必要となる場合も出てきます。航空機はアメリカかヨーロッパ企業で大半が生産されているので、航空機に使われている部品もアメリカ系企業のものも多いんです」

と国際物流事業本部の担当者は話す。

なるほど、そういうわけでアメリカ社では航空関連の取り扱い品目が多いのだ。

※イメージ

背景がわかれば、取り扱い品目の特徴がでている理由もみるみるわかってくる!

■オーストラリア

オーストラリアでは、特徴が異なる。

オーストラリアは世界でもトップクラスの資源大国だ。鉄鉱石や石炭などの天然資源の輸出が多く、日本ももちろんその恩恵を受けている。


一方で、日用品などの多くは、海外からの輸入に頼っているのだとか。


そのため、オーストラリア社でも日用品の取り扱いが多いのが特徴として表れている。

※イメージ

その他、近年日本では、お酒をはじめとした食品関係の輸出、特にアジア向けの輸出が盛んになっている。西鉄国際物流としても2023年10月にシンガポールで開催された日本食の食品展示会に参加するなど、西鉄国際物流の食品輸送サービスをPRしている。

展示会の様子

世界で活躍する西鉄の国際物流事業本部

1948年に航空貨物代理店としての営業をスタート。「フォワーダー(利用運送事業者)」としての西鉄国際物流のグローバルネットワークは、今や世界の国と地域、123都市(2023年11月時点)にまで広がっている。

年間を通した航空輸出の取り扱い比率を見てみると、2022年は日本:海外=4 : 6の割合。国内での堅実な実績を柱に、海外でも取り扱いを増やしている。
航空貨物の取り扱いでは、日本発の輸出重量は国内4位(2022年度・国際航空運送協会)。世界のフォワーダーの中では、海運の取り扱いも含め総合27位(2022年度・Armstrong & Associates.Inc.)にランクインと、順調に成長を続けてきた。
NNRが取り扱う輸出航空貨物の中には、生花などのちょっとめずらしいものも。品質劣化を防ぐために繊細な管理が必要な貨物ではあるが、その豊富な実績と対応力から、業界内では「切り花なら西鉄」と呼ばれている!

見えない仕事だけど、社会を支える大事な仕事

国際物流の業界では、つねに国際情勢に意識を向けるのが当たり前。国際政治、社会情勢、災害など予測困難な状況に影響を受けて、物流の事情が刻々と変化していくため、常に最新の状況を把握しておくことが大切だ。

世界中に広がる西鉄国際物流のグローバルネットワーク。しかしその中でも、国や地域によって取り扱い貨物は大きく異なり、それぞれに特徴があることがわかった。

国際情勢によって刻々と変化する物流ニーズに臨機応変に対応しながら、お客さまに寄り添ったサービスを提供し続けている西鉄国際物流。私たちが日ごろ生活するなかでは見えにくい仕事だけど、社会を支える大事な仕事といえる。

いつも使っている身の回りのアレコレが、もしかして西鉄国際物流が取り扱った貨物だったかも?! そんなふうに想像をめぐらせてみると、あまりなじみがない国際物流の世界がちょっとだけ身近に見えてくるのではないだろうか。

Related article