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世界に広がる西鉄の物流ネットワーク
島々をつなぐNNRフィリピン社
物流最前線をレポート

世界に広がる西鉄の物流ネットワーク 島々をつなぐNNRフィリピン社 物流最前線をレポート

27カ国・地域、119都市(2026年6月時点)に拠点を持つ西鉄の国際物流事業本部。中でも、著しい経済成長を続けるASEAN諸国において、重要な戦略拠点となっているのがフィリピンだ。

今回は、NNRフィリピン社のマニラ本社へ。島々を結ぶ物流網や輸送ニーズに合ったサポート体制など、物流の最前線を取材した。

目次

「NNR GLOBAL LOGISTICS」とは?

「NNR GLOBAL LOGISTICS」は、西鉄の国際物流事業本部が世界各国で展開している国際物流事業のブランド名称だ。27カ国・地域、119都市(2026年6月時点)に拠点を持ち、航空・海上輸送を中心に各地で物流に関する幅広いサービスを提供している。

フィリピンの現地法人「NNR GLOBAL LOGISTICS (PHILIPPINES) INC.」(以下、NNRフィリピン社)は、2008年に創業。フィリピン国内に4拠点を構え、現在は196名(うち日本人3名、2026年4月時点)の従業員が勤務する。

2025年9月には、新たにスービック事務所を開設した。スービックは、フィリピンの首都マニラから北西に約150キロメートルのルソン島中部に位置する経済特別区で、国際貿易や投資の促進を目的とした地域。今後も発展が期待できるエリアだ。

製造業や物流・貿易業が主要な産業であるスービックでの事務所開設で、より柔軟な対応が可能となったNNRフィリピン社。地域のニーズに応える濃やかなサービスで、さらなる成長を目指している。

スービック事務所。フィリピン人スタッフ1名が在籍

NNRフィリピン社の拠点

NNRフィリピン社が本社を構えるのは、フィリピン国内でも最大の面積と人口を擁するルソン島、首都マニラ。政治・経済・文化の中心地である。NNRが事業をスタートしたのは2008年8月。この特徴的な国で、NNRはどのように物流事業を構築しているのだろうか。マニラにあるNNRフィリピン社の本社を訪ねた。

(左から)社長の河村悟さん、セールス担当の藤本塁さん
セールスチームの執務風景
海上輸送部門の執務風景
診療室。フィリピンでは従業員100名以上の事務所には診療室を設置しなければならない

NNRフィリピン社のサービスの特徴は?

自然災害や港湾の混雑といった不確定要素が多いフィリピンにおいて、物流の「止まらない」仕組みづくりは最重要命題だ。NNRフィリピン社では、複数の通関業者やトラック会社と提携することで、特定のリソースに依存しない体制を構築。航空・海上による国内・国際輸送に加えて、国内の島々を結ぶスムーズな輸送網をつくり上げている。

また、昨年はスービック港を使用するための「ACCREDITATION(認定)」を取得。従来のトラックサービスと連携することで、メインとなるマニラ港が混雑した際には、スムーズにスービック港へと切り替える提案が可能となった。

この柔軟なバックアップ体制こそが、安定したサプライチェーンを求める企業からの厚い信頼につながっている。

スービック港。台風や火山の噴火など自然災害の影響を受けやすいフィリピンにおいて重要なサブ拠点だ

また、取扱い貨物は、輸出入ともに電子部品や自動車関連部品、工業製品などが大半を占める。有資格者による厳格な取扱いが必要な危険物の輸送や、特殊貨物の取扱いを得意とするのもNNRフィリピン社の特徴だ。

温度管理が不可欠な化学品のドライアイス補充作業や、鰻といった生物の出荷手配など、製品の性質に合った最適なハンドリングを創業時から得意としている。

進むオフショア。(※)24時間365日のサポート体制

※「オフショア(Offshore)事業」……企業の業務や拠点を人件費や物価などのコストが抑えられる海外に移転・委託する事業形態のこと。

フィリピンの4拠点を合わせれば、従業員数は合計196名 (うち日本人3名、2026年4月時点)世界に広がるNNRの中でも指折りの従業員数となっている。なぜこれほど多くの従業員が?答えは、NNRフィリピン社が独自に構築するカスタマーサポート体制にあった。

世界各国のNNRでは、オペレーションサービスのアウトソース化が進んでいる。その業務を一手に担っているのが、英語での業務遂行が可能で、欧米との時差を活かした時間帯での対応により高付加価値のサービスを提供するマニラ本社だ。

オフショア事業を担うローカルスタッフのみなさん。別のフロアにもスタッフが多数

3交代制で、365日24時間体制で稼働するカスタマーサポートチーム。担当するのは、主に入力業務や請求書の作成などの事務作業。このチームだけでも92名のローカルスタッフが働いていて、国外・国内輸送の多様なニーズに即応している。

執務風景

現地ならではの難しさと面白さ

国・地域が変われば働く人も法令も異なる国際物流の業界。フィリピンならではの物流の特徴や難しさについて、NNRフィリピン社の社長を務める河村悟さんと、マニラ本社に駐在中の藤本塁さんに話を伺った。

フィリピンならではの難しさを感じることは?

河村 さん
河村 さん

フィリピン国内では地場企業が強く、価格競争も激しいため新規参入が簡単ではないと痛感しています。そこで大切なのが、お客さまとの関係づくりです。ローカルスタッフの人脈も生かしながら顧客を開拓しています。自分のことをしっかり知ってもらえるよう、ビジネストークだけではなくプライベートな話も交えながらカジュアルな関係を築くのがポイントですね。

フィリピンでは、社外の取引先駐在員の方々とも生活環境の話や趣味の話題などプライベートなことも話すオープンな関係性が一般的です。もちろん、必要以上に個人的なことを話す必要はありませんが、自分自身のことを少しずつ伝えていくことで相手の安心感につながり距離もぐっと近くなる実感があります。

オープンで明るい国民性のおかげか、新規のアポイントでも意外とすんなり受け入れてもらえることもあります。そこでしっかりと私たちの実績や強み、人柄を知ってもらい、信頼関係を築いたうえで成果を積み重ねていけば、強固なパートナーになることができます。

執務中の河村さん
マニラ本社に飾られたバースデー掲示板。オープンな雰囲気が伝わってくる
藤本 さん
藤本 さん

明るい国民性もあり、飛び込み営業も歓迎してもらえる空気があります。初対面でもしっかりアピールして信頼関係を築けば出荷の依頼をいただけることもあり、その点では日本よりオープンですね。一方、価格競争はシビアなのでその点はしっかりと交渉が必要です。

藤本さん。マニラ本社の事務所にて

7,000以上の島々からなるフィリピン。島国ならではの苦労はありますか?

河村 さん
河村 さん

「フィリピン=島国」ということから、海上輸送が中心というイメージを持たれるかもしれません。しかし実際には、多くの島々にまたがって物流網を構築する必要があり、輸送コストやリードタイムの面で課題もあります。航空輸送やトラック輸送を適切に組み合わせながら、国内各拠点と連携することの重要性を日々感じています。

昨年、新たな拠点としてスービック事務所を開設しました。自然災害や港湾の混雑などインフラや地理的な課題があるなか、地域間の連携力アップや地域のニーズを汲み取っていくための重要な一歩になったと考えています。

西鉄グループの強み「安全・安心のために」

厳しい国内競争の中においても、西鉄グループの強みとなるのは世界各国・地域とのグローバルネットワークと、「安全・安心」を実現する信頼性だ。

「安全・安心」のために、日ごろから実践していることは?

河村 さん
河村 さん

業務の基本は手順書ですが、誰でもミスなく業務を進められるよう丁寧に作成し、必要があれば細やかに更新しています。また、外部・内部ともに講習会への参加を通して、個人だけでなく部署単位での安全意識の向上に取り組んでいます。

また、お客さまに対してはメールで満足度調査を実施しています。そこから意見を吸い上げて改善やさらなるサービス向上につなげるなど、アフターフォローも大切にしています。近年は、NNRグループの連携強化をより重視するようになっていて、東南アジア+インド圏内ではオンラインミーティングで頻繁に情報交換を行うなど、連携力を強めて顧客の獲得やサービス向上を目指しています。

若手社員から見る海外での働きがい

海外勤務を志望して西日本鉄道株式会社の国際物流事業本部に入社。東京・総合営業部での勤務を経て、2025年4月からNNRフィリピン社に駐在する、入社6年目の藤本塁さん。現地での業務や働く環境について話を聞いた。

念願の海外勤務。仕事にはすぐに慣れましたか?

藤本 さん
藤本 さん

着任1年目、最初はフィリピンでの物流のプロセスや、商習慣に慣れるのに必死でした。得意先の担当者情報や法規制、税関での手続きなど、覚えることは山ほどあります。この1年で、特に注意すべき点や事前の調整が必要な場合など、業務の要点が見えてくるようになりました。

1週間の動きはどんな感じでしょうか?

藤本 さん
藤本 さん

定時は9時から18時で日本と同じです。私は8時半ごろには出社していますね。週に3、4日は日中外出しているので、朝の時間はデスクワークに就く貴重な時間です。日本との大きな違いはメールの量とやり取りのスピードです。スピーディな対応が求められるので、優先度の高い連絡は特に見逃さないようチェックしています。

日本での業務と違いはありますか?

藤本 さん
藤本 さん

大きくは変わらないのですが、フィリピンではローカルスタッフと組んで営業していくので、チームワークや英語でのビジネスなど業務面・語学面の両方で学びになることがたくさんあります。また、相談を受けて見積書を提出する際は、価格もそうですが提案のスピード感についても重視される傾向があります。お客さまがどんな対応を求めているかを見極めることが重要ですね。

ローカルスタッフとコミュニケーションを取る藤本さん

業務で苦労した、大変だったエピソードがあれば教えてください。

藤本 さん
藤本 さん

コンテナ配送で輸送中トラブルが起こり、コンテナ内の貨物を確認しなければならないことがありました。通常、保税貨物を管理しているPEZAの許可なしでは貨物確認はできないのですが、PEZAや関係各署と調整を行い何とか貨物確認を済ませ、お客さまへ無事コンテナを納品する事が出来ました。トラブル発生当初は「どうなるだろう」と心配になり、焦る気持ちもありましたが、緊急時でも常に冷静な判断と対応が必要であることを再認識した出来事でした。「信頼」や「責任」について、あらためて考える機会でもあったと思います。

働く上でやりがいを感じることや大切にしていることは?

藤本さん
藤本さん

やはり新規の案件を獲得できた時です。ローカルスタッフの紹介で日系企業に勤める現地の方と調整の上契約につながったこともあり、信頼していただけたことが素直にうれしかったですね。また、業務では日ごろから電話でコンタクトを取ったり、工場など現場にも足を運んだりして、最新の情報や要望をキャッチアップするよう心掛けています。

フィリピンならではの風習などはありますか?

藤本 さん
藤本 さん

社内のクリスマスパーティーです。フィリピンはクリスマスを重要視する文化があります。年末はどの会社でも大規模なクリスマスパーティーが開かれます。みんなで過ごす時間を大切にする、フィリピンらしい習慣ですね。NNRフィリピン社でも、この時は全員参加の大宴会に。部署ごとに出し物を企画して、投票で上位になったチームは表彰を受けます。

東南アジアでのさらなる成長を目指して

オフショア事業の伸長でさらなる成長の兆しを見せるNNRフィリピン社。今後の展望について河村社長、藤本さんそれぞれに語ってもらった。

河村 さん
河村 さん

オフショア事業の成長で、従業員数は海外グループ会社内でも大きな規模にまで成長してきました。引き続き航空輸送を伸ばす事もそうですが、海上輸送についても輸出入ともに取り扱い物量をしっかり伸ばす為にセールス強化に力入れたいと考えています。

また、現在は4拠点ですが、必要に応じて拠点数を増やし、柔軟な対応ができるよう更に体制を構築できればと思っています。一方、課題として取り組みたいのはデジタル化。AI活用も視野に入れて業務効率化を目指します。

藤本 さん
藤本 さん

個人的には、今年度も引き続きアプローチできていない顧客を開拓し、新規獲得を増やしていきたいと思っています。また、チームをまとめる力や全体を俯瞰する視点などリーダーとしての能力を磨きながらスキルアップしていきたいですね。

濃やかなサービスでフィリピンの地域に根ざし、お客さまの課題に真摯に向き合ってきたNNRフィリピン社。頼れるローカルスタッフの力を最大限に生かしながら島々を繋ぎ、フィリピンの地で新たな価値を運びながら、グループ全体のビジネスの可能性を広げている。NNRフィリピン社、そして世界のNNRの今後の成長にさらなる期待を寄せたい。

  • 河村 悟 さん
    河村 悟 さん

    西日本鉄道株式会社
    国際物流事業本部
    NNR GLOBAL LOGISTICS(PHILIPPINES),INC

    2006年入社。福岡輸入営業所、福岡輸出営業所勤務後、2021年4月よりフィリピン・マニラ本社へ。主管長兼マニラ支店長を経て、2023年より現職。

  • 藤本 塁 さん
    藤本 塁 さん

    西日本鉄道株式会社
    国際物流事業本部
    NNR GLOBAL LOGISTICS(PHILIPPINES),INC

    2021年に入社。東京の総合営業部で4年間勤務した後、2025年4月からフィリピン・マニラ本社へ。セールス担当として、ローカルスタッフと連携を取りながら、日系企業をメインに担当する。

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