コロナ禍の間、西鉄バスや電車で見かける機会も多かった知る人ぞ知るキャラクター「アマビエちゃん」。
よく見てみると、これが実はけっこうかわいくて、一部ではファンもいたとか?!
見れば見るほど気になる「アマビエちゃん」の正体とは?
「アマビエちゃん」とは、病気を知らせる妖怪「アマビエ」をモチーフに、感染予防やwithコロナの新しい生活の仕方をわかりやすく解説するキャラクター。
2020年初頭、新型コロナウイルス感染拡大に際して、感染予防・対策の啓蒙を支援するために全国の各種業界の方々が集まって立ち上がった「アマビエちゃん製作委員会」によってつくられた。
キャラクターの原案は、福岡を拠点に活動するキャラクターデザイナーの谷口亮さん、漫画は上原ゆかりさんが担当した。読み始める前にキャラクター設定もチェックすると、より漫画が楽しめる。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式マスコットキャラクターなど、これまで多くのキャラクターを手掛けてきた谷口さん。
西鉄バスは街をたくさん走っているので見かけることも多くて嬉しいです。周りからもよく「見たよ!」と言われるので、「根付いてるなぁ」と感じますね。僕のキャラの中でも愛されてるキャラだと思ってます。
ちょっと気味の悪い妖怪「アマビエ」が、こんなにかわいくなるなんて!
西鉄では「アマビエちゃん」とコラボしたポスターやサイネージで、感染拡大防止に向けたさまざまな取り組みを進めてきた。
西鉄バスの車内では、市内を運行する路線バス全台にステッカーを掲出。料金表横のビジョンにもアマビエちゃんが登場した。
電車の一部の車両でもサイネージで広告を展開。一部タクシーのサイネージでもマスク着用や会話への配慮などの乗車マナーへの協力を促した。
(※タクシーのサイネージ以外はいずれも2023年3月までで終了)
多くの観光客が訪れる太宰府エリアでは、アマビエちゃんデザインのビニール袋が参道の店舗に配られ、お客さまへ。街路灯へバナーも掲出した。
西鉄太宰府駅を置く西鉄は、公共交通を担う以外に、沿線地域のまちづくりや観光支援も続けている。混乱や不安が渦まくコロナ禍だからこそ、地域での連携をしっかりと築いていきたい。アマビエちゃんの取り組みにはそうした西鉄の思いが反映されていた。
コロナ禍においては、国内の公共交通機関では「できるだけマスクの着用を」や「車内での会話を控えめに」といった感染予防対策が勧められていた。
しかし、こうした対策はお客さまに対しての「お願い」ではあるが「強制」であるべきではない。西鉄の立場からすれば、利用する人の考えを尊重しながらも、交通網を担う側として伝えるべき情報を、正確に、わかりやすく伝える必要がある。
しかし、どのようにすれば、事業者側の考えや伝えたい情報がきちんと利用者に伝わるのか?
西鉄をはじめとした公共交通機関は、かつて経験したことのない課題に直面していたと言える。
そうしたなか、COVID-19の世界的な流行が始まった2020年12月。「アマビエちゃん製作委員会」からコラボレーションの依頼があり、全面的な協力のもとに一連のビジュアルが完成した。
漫画は現在100話以上あり、外出時や帰宅後の感染対策をテーマにしたストーリーが展開されている。そのうち数話が西鉄とのコラボで生まれた、バスや電車でのエチケットに関するものだ。
コラボレーションの内容については、自動車事業本部の営業企画部が「アマビエちゃん製作委員会」と2週に一度、約2年間もの間オンライン会議を続けるなかで製作された。
利用者からは「キャラクターがかわいくて親しみが持てる」「ついつい漫画を読んでしまう」「子どもにも好評」といった、好意的な声が多数寄せられたという。アマビエちゃんは、西鉄のコロナウイルス感染予防の広報役を大いに果たしたようだった。
西鉄バス・電車を主な生息地としてきた「アマビエちゃん」は、2023年春に一旦役割を終えて、まちの中からは姿を消してしまった。
感染者が減り、社会生活に不便がなくなったのは良いことだが、ということはもしかして、アマビエちゃんにはもう会えない……?!
いえいえ、そこは心配無用。次の展開も、企画会議が進んでいます。
「アマビエちゃん製作委員会」のTwitter公式アカウントでは、無料で漫画全話が公開されている。よかったらアマビエちゃんに会いに行ってみてください。