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母国を離れ福岡で就職!
西鉄の外国人採用と
「多様な働き方」のリアル

母国を離れ福岡で就職! 西鉄の外国人採用と 「多様な働き方」のリアル

国内外でさまざまな事業を展開する西鉄では、日本人社員のほか、外国人社員の採用も積極的に進めている。

「ダイバーシティ」という言葉が一般的になり、多様な働き方が求められる今、西鉄の外国人社員 はどのように働いているのか? 所属する2名の外国人社員に、普段の仕事や将来の展望について語ってもらった。

目次

西鉄の外国人採用の現状

従業員数4,502人(他社への出向者等は除く)、85社1学校法人(西日本鉄道(株)含む) のグループ会社を持つ西鉄では、2005年から外国人の採用を積極的に進めている。2023年4月時点での外国人社員数は15名。うち2名が係長職に登用されている。

また、グループの海外拠点である海外現地法人では、現地にて採用活動を展開し、経営者・管理職にも外国人を積極的に登用している。

左:王鼎さん、右:張銘容さん

今回話を聞いたのは、九州観光機構に出向中の王鼎(わん でぃん)さんと、株式会社西鉄ホテルズに出向中の張銘容(ちょう めいよう)さん。まずはお二人の業務内容について教えてもらった。

これまでの職務経歴と、現在の業務内容を教えてください。

王さん
王さん

入社は2016年で、最初は都市開発事業本部で商業施設のPRや売上管理、営業管理、リーシングなどを担当しました。その後、バス事業をメインとする自動車事業本部に異動となり、インバウンド向けのマーケティング開拓や企画乗車券のデジタル化推進、メタバースに関する事業を担当しました。

今年の4月から九州観光機構へ出向となり、九州の新しい観光資源を見つけて発信する仕事をしています。

どの地域を担当しているんですか?

王さん
王さん

私は鹿児島県の担当で、最近は日置市にある美山地区の観光資源について調べています。美山は「薩摩焼の里」として知られる自然に囲まれた地域で、多くの薩摩焼の窯元があります。

近年は若い世代の方々が営むおしゃれなお店も増えていて、まだ知られていない魅力がたくさんありますよ。

張さんは、どんなお仕事を?

張さん
張さん

私は2018年入社です。現在は、国内外のホテル開発や海外の子会社の管理、事業計画や予算の統括などを担当しています。

入社してから主に担当したのは、今年の夏にオープンする「ソラリア西鉄ホテル台北西門」。地元の台湾にできる新しい西鉄の拠点ということで、開業が楽しみです。

ソラリア西鉄ホテル台北西門 外観イメージ

と、ここまで話を聞いて驚いたのは……

それは、【お二人があまりにも日本語がうまい】ということ!

お名前を見れば国籍はわかるが、会話をしていると、外国人だということをほとんど感じない。

いったいどんなバックボーンを持っていて、どんなきっかけで西鉄に入社したのだろうか? 引き続き二人に質問を投げかけた。

西鉄に入社したきっかけは?

王さんは、中国の東北地方にある瀋陽市の出身。23歳で大学を卒業するまで中国で過ごし、大学院生の時に福岡にやって来た。

大学では、国際的な人材を育成する学部で、ITやプログラミング、英語を学んだ。もともと日本に行きたい気持ちがあり、留学を決意し、2013年9月から福岡で暮らしている。

一方、張さんは、父親の仕事の都合で、幼稚園から小学校に上がるまでの数年と、小学生高学年の数年の間、日本で過ごしたことがあり、台湾に戻ってからは、アニメやテレビ番組などで日本の文化に触れていた。そんな経験から、「日本で働いてみたい」と考えるようになったとのこと。

日本にたくさん企業があるなか、なぜ西鉄に?

王さん
王さん

大学院時代、留学生のコミュニティで飲み会をしたことがありました。その時、西鉄で働く中国出身の先輩と知り合い、仕事の話を聞いたことがあったんです。

さまざまな事業を展開する会社だと知り、とても興味を持ちました。特に「まちづくり」に関心があったので、就職活動で西鉄を受けることにしました。

張さん
張さん

そうだったんですね。私も「まちづくり」に興味があって西鉄を選んだんですよ。大学では都市計画を専門に勉強していて、不動産開発の仕事をしたいと思っていました。福岡が大好きだったのも、西鉄を選んだ理由です。

当時はちょうど、故郷の台北で「ソラリア西鉄ホテル台北西門」建設の話が進んでいるところだったので、「ホテルの開発事業に携わりたい!」と熱意を伝えました。

西鉄外国人社員あるある

外国人社員の採用にあたり、西鉄では特別な採用試験を実施しているわけではない。外国籍の場合、在留資格の確認は必要だが、それ以外は特別な扱いは特にない。

つまり、日本人と同じ条件で募集をかけ、日本人と同じステージで筆記試験や面接を実施しているのだ。

そうしたなか、異なる背景を持ちながら、「まちづくり」という共通の夢を持ち、西鉄に入社した王さんと張さん。これだけ流暢に日本語を話せるが、日本ならではのルールや習慣で、苦労したことはなかったのか?

張さん
張さん

電話の対応は、最初はかなり難しかった! 会社名や部署名の聞き取りが大変で、何度も聞き返したことがあります。

王さん
王さん

わかる! 名前が長い場合は特に難しいんですよね。部署異動で環境が変わると新しい取引先ができるから、またイチから覚えなきゃならない……。

北九州にあるショッピングモール「チャチャタウン小倉」で勤務していた時は、館内放送用の電話連絡事項が聞き取れなくて、迷子の案内などの際に苦労した覚えがあります。

張さん
張さん

勇気を出して「聞き取れなかったので、もう一度お願いします」って言うしかないですよね。

王さん
王さん

うん、うん。それでもわからないときは、上司に素直に伝えて教えてもらっていました。

その他、「ビジネス用語に苦労した」「知らない地名やバス停名を覚えるのが大変だった」という意見も出たが、よく考えるとこれは“新社会人の通過儀礼”。外国人でも日本人でも、慣れないうちは、業界ごとに異なるビジネス用語やマナーに誰もが苦労するものだ。

王さん
王さん

あと、日本ではビジネスシーンで時折、野球用語を使うことがありますよね? 「変化球」とか「外角ギリギリ」とか。そうしたやり取りは、今でも難しいと思うことがあります。

張さん
張さん

言われてみれば、独特かも。

王さん
王さん

とは言え、日本での生活も長いので、中国の友達からは「中国語が下手だね」と言われるようになりました(笑)。この前は「メニュー表」という言葉が中国語で出て来なくて!

張さん
張さん

私もよくあります! コロナ禍もあったし、日本語のほうがよく使うから忘れちゃうんですよね(笑)。

「多様性」について思うこと

大学生や大学院生から社会人になる時に誰もが経験する「迷い」や「戸惑い」はあったが、外国人であることが通常の業務に不利にはたらくことは、ほとんどない様子だった。

張さん
張さん

西鉄の先輩や同僚がやさしいので、わからないことがあっても質問しやすい環境だと思います。

王さん
王さん

私も同感です。最初はわからなくても、仕事をしながら学んでいけますから。

そこで、ちょっとだけ突っ込んだ質問を。

働く環境について、課題を感じることはありますか?

王さん
王さん

これは西鉄に限らずですが、外国人社員の数自体が少ない。日本全体の問題だと思っています。特に福岡はアジアに近く、インバウンドも多い地域です。さまざまな経歴・技術を持つ外国人が集まれば、もっとおもしろい事業が生まれていくと思います。

西鉄社内では、外国人であることや母国語、専門知識を生かせる職域が、もっと増えればいいなと感じています。

張さん
張さん

ひと口に「外国人社員」と言っても、バックボーンや専門性は人それぞれ違うので、その人の個性を生かせる仕事がつくり出せれば、もっと多様な人材が集まってくるはずです。

なるほど。そのために必要だと感じることは?

王さん
王さん

在留資格の更新など、外国人社員のフォロー体制ですかね。日本での暮らしに関するあらゆることを相談できる仕組みがあれば、安心につながると思います。私たちも、外国人の後輩がたくさんできたらうれしいですね。

張さん
張さん

うん、うれしいですね。台湾出身者はまだまだ少ないので、西鉄の仕事の魅力をたくさんの人に知ってもらい、仲間になってほしいと思います。

西鉄でこれから実現したいこと

自身の経験と知識を生かしながら、それぞれの部署で活躍する王さんと張さん。西鉄で働くことの魅力と、これから実現したいことについて語ってもらった。

西鉄で働くことの魅力は?

王さん
王さん

西鉄にはさまざまな部署があり、異動をするたびにいろんな人との出会いがあります。これまでいくつかの部署を経験してきて思うのは、一つひとつの仕事が次の仕事に生かせているということ。

現在の九州観光機構での仕事は、自動車事業本部で手掛けてきたインバウンド向けの事業や、中国出身である自分自身の視点も大いに役立っています。

また、西鉄の社員のみなさんは責任感が強い方が多く、一人ひとりがしっかりと仕事をまっとうしています。そうした先輩や同僚の姿から学ぶことはとても多いですね。

張さん
張さん

西鉄の仕事をしていて感じるのは、地域密着型の仕事が本当に多いということです。どの仕事でも、必ず大切にしなきゃいけないのは福岡に暮らす人々のこと。地域のための「まちづくり」という視点は、福岡の地元愛の強さにもつながると感じます。

今後、挑戦したい仕事はありますか?

張さん
張さん

入社してから長年手掛けてきた「ソラリア西鉄ホテル台北西門」がついに完成し、ひとつ夢が叶いました。また、それ以外にもたくさんのホテル開発に携わることができました。

管理面ではひと通りの経験ができたのですが、まだ経験していないのはホテルの現場。近いうちに実際にホテルに勤務して、現場の業務を経験したいと思っています。その視点ができれば、バックオフィスでの仕事にも生かせると思うからです。

王さん
王さん

とてもいいですね。私は、バスの運転士を経験してみたいと思っています。

張さん
張さん

えっ、バスの運転士? なぜですか?

王さん
王さん

自動車事業本部では、運転士の方々と話す機会がたくさんありました。その時に感じていたのは、運転士さんの技術は本当にすごくて、日々いろんな思いを抱えてバスを運行しているということでした。私にとって、バスの運転士はあこがれの仕事です。

張さん
張さん

すてきですね。

王さん
王さん

あとは、日本語のほか、今、仕事で携わっている鹿児島弁もマスターしたら一人前になれるかも?(笑)

張さん
張さん

鹿児島弁って難しいんですよね?! 楽しみです!

コロナ禍に入る前は、社内の外国人社員どうしの集まりも開かれていたとか。

集まりの様子

「そろそろまた集まりましょうか?」と話しながら、にこやかに取材を終えたお二人。

これから西鉄でどんな仕事に携わっていくのか、活躍を応援しています!

  • 王 鼎 さん
    王 鼎 さん

    九州観光機構
    企画部 地域連携室

    2016年、西日本鉄道株式会社に入社。都市開発事業本部で商業施設のPRや営業管理、リーシングに従事した後、自動車事業本部へ。インバウンド向けのマーケティング開拓や企画乗車券のデジタル化推進を主に担当した。2023年4月より現職。

  • 張 銘容 さん
    張 銘容 さん

    株式会社西鉄ホテルズ
    コーポレート本部 経営戦略部

    2018年に西日本鉄道株式会社に入社。ホテル事業部で「ソラリア西鉄ホテル台北西門」をメインに国内外のホテル開発を担当。その後、海外の子会社の事業計画の統括や予算の管理に携わる。
    2023年4月より、㈱西鉄ホテルズに出向。

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