福岡・天神地区の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の中心とも言える、ワンビル(旧福ビル)の建替プロジェクト。西鉄では昨年、その新メンバーを社内公募で選出。選考の結果、5名が選ばれ、2024年4月からチームに参画する予定だ。
「ワンビル(旧福ビル)の事業に携わりたくて西鉄に入社した。今回の公募は待ちに待ったチャンス」「入社当初からホテル事業に興味が。その想いを変わらず持ち続けてた」「ワンビル(旧福ビル)の開業は入社した頃から気になっていた憧れの仕事」などなど社内公募制度で入社してからの思いをかなえたメンバー。いったいどんな取り組みなのか?選ばれた5人のうち、福岡勤務の社員/若手の社員に詳しい話を聞き、これからの働き方やキャリア形成について語ってもらった。
2023年秋、西鉄では「福ビル街区開発部」のメンバー公募が発表された。2025年4月の開業を見据え、24年4月からの増員について、社内で希望を募る仕組みだ。応募があった業務のカテゴリーは「ホテル」「CIC」「運営・販促」の3つ。
これまでは、入社時や節目の年に人事部との面談が設けられ、希望の部署について意思を表明する機会はあったが、今回は特定の部署の人員を社内公募という形で希望者を募った。約20名の応募の中から、書類選考・面接・適性検査を経て5名が選ばれた。
なかでも若手の3名に、志望動機や実現したいことについて話を聞いた。
入社2年目で、現在はDX・ICT推進部でICTツールを用いたデータ利活用の推進業務を担当している新開さん。
ワンビル(旧福ビル)の事業は私が西鉄に入社を決めた大きな理由でもあり、今回の公募は待ちに待ったチャンスでした。これまでのIT部門での経験も活かせると思い、応募しました。
入社6年目の向井愛海さんは、自動車事業本部での経験が6年間と長く、現在はバス運転士の人事・労務を担当している。
私は、西鉄入社前からホテル事業に興味があり、その想いを変わらず持ち続けてきました。新ビルの最上階にはホテルの入居が決まっているので、ぜひ携わりたいと考えて応募しました。開業まであとわずかしかないので、チャレンジするならこれが最後のチャンスだと思ったんです。
一方、入社8年目の牛島さんは、現在は都市開発事業本部に所属。オフィスビルのリーシングや2023年6月にオープンした「福岡大名ガーデンシティビオスクエア」の開業準備など、様々な不動産業務に携わってきた。
入社以来、様々な不動産業務を経験した中でこの仕事の楽しさやおもしろさ、やりがいを感じていました。ワンビル(旧福ビル)の開業は入社した頃から気になっていた憧れの仕事です。自分の経験がきっと活かせると思いました。
面接ではどんな点をアピールしましたか?
私の場合は入社当時からの「ホテル事業」に携わりたい!という明確な志望動機があったので、そこを強く伝えました。また、行政書士や宅建士の資格試験に合格したこともアピールしました。
私も入社のきっかけでもあったのがワンビル(旧福ビル)に携わる仕事だったので、自分の意思表示ができるいい機会だと思い応募しました。実際に選ばれてうれしかったし、「入社2年目でも手を挙げていいんだ!」と希望が持てました。面接では、今、担当しているデータ利活用やITの知識を活かしたいと伝えました。
私も入社当時からの希望でした。ですので、募集がかかったときは開業残り1年というこのタイミングでぜひ携わりたいと思い応募し、これまでの開業準備などの経験を活かしたいと伝えました。実際にどんな業務を担当するかは、まだ具体的にはわからないんですけど。
意外とまったく別の仕事になるかも……?
それはそれでおもしろそう!
応募する前に、周囲に相談しましたか?
私は直属の上司に相談しました。漠然とチャレンジしたい気持ちは持っていましたが、具体的な文章にするのが難しくて直前まで悩んでいました。募集期間の最終日に「応募しなくていいの?」と心配されましたが、上司にも相談しながら、何とか締切に間に合いました。
うちは部署内で「応募した?」って話題になっていました。私自身は迷っていて、食事中のふとしたタイミングで上司に相談してみたところ、「迷っているのなら、応募したほうがいい。応援するから!」と激励の言葉をかけてもらいました。
みなさん事前に相談されたんですね。私は、こっそり応募しました。メールで応募する時に上司もCcに含まれるので、それでわかっちゃうんですけどね。
じゃあ、上司はその時初めて知ったってこと?
そうですね。でも、私がホテルに興味があることは伝えていたので、不思議ではなかったはずです。
「福ビル街区建替プロジェクト」で実現したいことは?
ホテル業務を希望しているので、どんな仕事を担当しても、私にとってはゼロからのスタートです。一つひとつ学びながら、知識や経験を積んで貢献したいと考えています。また、九州の中心でもある福岡で、天神の顔となる新ビルの開業に携われることに誇りを感じています。天神のワンビル(旧福ビル)から世界に向けて、福岡と西鉄の魅力を発信していきたいですね。
「運営・販促」その中でも開業準備業務を希望したので、まずはオフィスや商業区画に入居するテナント様や来館するお客様が快適に施設を利用出来る環境をしっかりと整えたいです。
私も牛島さんと同じく、「運営・販促」のカテゴリーを希望しました。と言うことは、牛島さんが上司になるかも……?
その時はよろしくお願いします!
創造交差点の名の通り、多様な利用目的を持つ方が快適に過ごせる空間作りに取り組みたいと考えています。その取り組みの中で、ICTツールやリアルタイムデータの活用方法を探っていきたいですね。
西鉄では通常、入社時に希望部署をヒアリングするほか、入社3年目と6年目に人事部の課長と1対1で「キャリア面談」を実施。このタイミングで、希望する業務や部署について具体的に伝えられるようになっている。
加えて、昨年秋、本公募が発表される前には異動希望登録を実施。異動を希望する部署を3つ記入するかたちで、各自の希望を登録した。この異動希望登録は、今後も引き続き年に1回実施される予定だ。
今回のような公募は、自分の意思を表明する良いきっかけになると思います。もしなければ面談や異動希望登録の結果を受け身で待つしかないし、応募した結果がもしだめだったとしても、手を挙げてみること自体に意義があると感じます。
ジョブローテーション制度では、必ずしも自分の希望が通る訳ではないので、私自身、キャリアパスがぼんやりとしているのが悩みでした。でも、今回の公募をきっかけに、長期的なキャリアプランについて、より主体的に考えるようになりました。
「NIT(ニット)」(※1)や「X-Dream(クロスドリーム)」(※2)のような新しい取り組みも、魅力的だと思います。私は「NIT」のメンバーでもあり、業務以外で部門の垣根を超えて活動できる場があることが嬉しいですね。
なるほど。通常の部署異動だと、直前になるまで配属先がわからないけど、今回みたいに業務開始のタイミングが決まっていれば準備しやすいし、キャリアパスの計画も立てやすいですよね。
今回の公募のほか、人や組織づくりのためのさまざまな新しい制度が生まれ、始まろうとしている。
来年度からはタレントマネジメントシステムを導入し、上司との1on1等の面談内容をデータとして記録する他、社員のスキルや資格、経験してきた業務、キャリア志向等、社員一人一人が持つ個性を可視化し、人財データの蓄積に取り組む。将来的にはそれらデータを活用し、人財育成や異動・配置の判断材料とすることも検討する。
※1「NIT(ニット)」……にしてつグループの長期ビジョン「にしてつまち夢ビジョン2035」の実現に向けて発足した、2023年度から24年度までの社内プロジェクト。有志の若手社員が集まり、西鉄の未来の事業について考え、意見を交わす。
※2「X-Dream(クロスドリーム)」……イントレプレナー育成に向けた新規事業創出プログラム。第一弾では、在留外国人向けの暮らしサポートサービス「NITI」が2023年9月からスマートフォンアプリでの運用開始。同年11月から始まった第二弾では、「推し活」プロジェクトが進行中。
さらに働きやすい環境をつくるためには? 3人に率直な意見を聞いた。
入社時には既に多様な制度が整っていたので、私は働きやすいと感じています。休みも取りやすく、バランスを取って働けています。
ここ数年で、いろんな制度が変わっていると感じます。私が入社した当時はフレックス制でもコアタイムがあったけど、今はもうなくなったし。人事部と直接面談できる会社は少ないと思うので、キャリア面談は貴重な機会だと思います。
今回の公募制度は、他の部署にも広がればいいなと思いました。もちろん、能力や適性によって判断する面もあると思うし、希望していなかった部署に行ったとしても、意外と自分に向いていたりして。
私もそう思います。今の部署は、実は希望した配属先ではなかったのですが、専門性を高めながら幅広い業務に取り組めているので、結果的に私にすごく合っていました。
それぞれメリットがありますよね。自分ではわからなかった適正や能力を発見できたり、たくさんの経験が積めたりするのは、さまざまな部署がある大手ならではだと思います。好きなことやしたいことだったら、持てる「熱量」が違うと思います。
今のままでも十分働きやすいと感じていますが、欲を言えば、学びをサポートする制度があればうれしいですね。「自分を高めることが会社のためにもつながる」という状態がベストで、学ぶ機会があれば「会社に貢献したい」という考えがもっと強くなっていくのではないかと思います。
リスキリング、注目されてますよね。私は将来的に、働く時間や場所が、今よりもっと自由になればいいなと思っています。その時間で勉強をしたり、地域の活動に参加したり、別のコミュニティを持ったり。
牛島さんがおっしゃるように、仕事以外の「+α」の活動が、ひいては仕事につながっていけば理想的ですよね。
西日本鉄道株式会社
DX・ICT推進部 デジタル企画担当
2022年入社。DX・ICT推進部にてICTツールを用いたデータ利活用の推進や基盤システムの導入検討、社内研修の企画実施を担当。
西日本鉄道株式会社
都市開発事業本部営業部 営業統括担当
2016年入社。入社後は都市開発事業本部にてオフィスビルのリーシングを担当。その後約3年間、人事部での業務を経て、2022年に都市開発事業本部営業部へ異動。「福岡大名ガーデンシティ」の開業準備や「博多国際展示場&カンファレンスセンター」の運営業務などに従事する。
西日本鉄道株式会社
自動車事業本部業務部 業務担当
2018年入社。入社後は運行ダイヤの作成や自治体との調整などの業務を経て、4年目からバス部門の人事・労務関係および新型コロナウイルス対応などに従事。2023年には育児休業を約5か月間取得。