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西鉄の宝である「人財」に輝き続けてもらうために長期ビジョン連載記事 vol.6

西鉄の宝である「人財」に 輝き続けてもらうために 長期ビジョン連載記事 vol.6

西鉄の長期ビジョン「まち夢ビジョン2035」が発表されて、はや1年が経過した。これまで、西鉄の長期ビジョンを各分野から紹介する連載記事をお届けしてきた。ラストである今回は西鉄の「人財」を担う、人事部人事課の和田未来さんに、西鉄の「人財」分野について話を聞いた。

目次

「まち夢ビジョン2035」とは?

「まち夢ビジョン2035」は、西鉄の2050年という未来を見据えてつくられている。2050年からのバックキャストで、2035年という目的地を描いているのだ。

「まち夢ビジョン2035」の中で、人財分野は根幹となるものである。「人材」ではなく「人財」と表記するのには理由がある。それは働いている人に「会社にとって価値のある、大切な人」ということを伝える目的だ。


どの分野をやるにしても、原点は「人財」以外の何者でもない。いきいきした人財が活躍できてこそ、西鉄の未来は実現できる。


「まち夢ビジョン2035」において、人財分野では主に3つの取り組みを行う。まずはパフォーマンスを最大化させる最適な人財マネジメント。さらに、自己成長・チャレンジを実現する制度改革。そして、働きがい満足度を向上させる活き活きと働ける環境整備である。


それらを実現することにより、西鉄の人財は2035年、どのように輝くのだろうか。人事部人事課の和田未来さんに話を聞いた。

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  • 和田未来さん
    和田未来さん

    西日本鉄道株式会社
    人事部人事課 係長
    2012年入社、鉄道事業本部の営業課に沿線担当として配属。その後、鉄道事業本部と人事部に従事してきた。現在は人事部で賃金全般の業務に携わる。

「人財」という宝をより輝かせるために

まず、「人材」じゃなくて、「人財」なんですね。よく研修とかで「会社にとって人材じゃなくて、人財になりなさい」みたいに使われるじゃないですか。

和田さん
和田さん

働いている人はみなさん「価値のある大切な人」なんです。それを伝える目的で「人財」という表記を選んでいます。

そのメッセージがとても優しいなと……。

和田さん
和田さん

働き続けてもらううえで、「西鉄にとって、あなたは宝です」と伝えるのは、大切なメッセージだと思っています。

和田さんは、西鉄の「人財」には、もともとどのような印象を持っていましたか。

和田さん
和田さん

西鉄には、人当たりのよい人が多いと思います。もともと、福岡の人情や温かい人が多いところが好きだったので、西鉄の人の良さは入社の決め手になった部分でもありますね。

そういった雰囲気であれば、新入社員として入社しても安心ですね。

和田さん
和田さん

入社した時から、相談しやすい雰囲気は感じていました。もう入社して10年以上経ちますが、その雰囲気は今でも変わっていません。

現在の西鉄は「人」が魅力ということは、多くの社員の方も話していますね。では、2050年の未来には人財分野は、どのようになっていると思いますか。

和田さん
和田さん

もっと個人に焦点が当たり、ワークライフバランスを今以上に重視した未来になっていると思います。

ワークライフバランスを今以上に重視するとなると……?

和田さん
和田さん

もっと「余白」を重視するような価値観になると思います。時間の面でも、賃金の面でも個人の「余白」が生まれるようになり、豊かな暮らしができることを重視するようになるのではないでしょうか。

たしかに、そういった暮らしは今でも「良いな」と思います。

和田さん
和田さん

「西鉄の未来はこうなってほしい」という願いを込めて「未来タイトル」というものを何個か作りました。それを集約してできたのが「まち夢ビジョン2035」なんですが、その「未来タイトル」の中で印象に残っているものがあって。

どういったものですか?

和田さん
和田さん

「好きなことを好きなだけやれる社会」というものです。

シンプル! でも、まさにそうですね。私も好きなことを、好きなだけやりたいです。

和田さん
和田さん

そうですよね。これからは人間がAIやロボットと共存することで、労働時間の最適化が見直されると思います。そうすると、きっとプライベートな時間をより長く持てるようになるはずです。

そうなるといいですよね。人財の話なので「人をどう成長させるか」という話かと思いきや……。まずは、誰もが幸せに生きられる社会が必要ですよね。

和田さん
和田さん

そうですね。未来に向けて、働くことへの価値観が変わっているだろうという予測が明確にできたのが、とても印象的でした。

「好きなことを好きなだけやれる社会」を実現させるためには、どんなことが重要だと考えていらっしゃいますか。

和田さん
和田さん

まず「人財」と会社が共創し、共に成長できる関係性を構築することですね。

その信頼関係は、まず何よりも大事ですね。

和田さん
和田さん

さらに、健全なパートナーシップを築くために、一人一人の能力を活かした職場づくりと多様な働き方に対応した制度の整備が重要です。

一人一人に対応した職場になれば、仕事を通して生きがいを感じられるようになりそうです。

和田さん
和田さん

そして、最後に人財一人ひとりの「自己実現への挑戦」を応援できればよいと考えています。

たしかに、そこまでくると「好きなことを好きなだけやれる社会」だと思えますね。ワクワクしてきました。具体的には、どのような取り組みを行っていますか。

和田さん
和田さん

大きく分けて、3つあります。1つがパフォーマンスを最大化させる最適な人財マネジメント、2つ目が自己成長・チャレンジを実現する制度の改革。3つ目が働きがい・満足度を向上させるいきいきと働ける環境整備です。

なるほど。では、それぞれについて、詳しく教えてください。

人財情報のプラットフォーム化を目指す

「パフォーマンスを最大化させる最適な人財マネジメント」を行うために、具体的にはどのような取り組みを行っていますか。

和田さん
和田さん

人財情報のプラットフォーム化を目指し、タレントマネジメントシステムの導入を進めています。

人財情報のプラットフォーム化とは、どういうことなのでしょうか。

和田さん
和田さん

たくさんの従業員がいる中で、それぞれのスキルや能力というのを活かすための取り組みです。最適な人財のマネジメントをすることで、企業としても最大限のパフォーマンスを導き出したいと考えています。

従業員のスキルや能力を活かすためには、まずは何をすべきなのでしょうか。

和田さん
和田さん

まずは、一人ひとりの人財情報を収集することはもちろん、可視化しなければなりません。

なるほど。でも「可視化」といっても、そんな簡単なことではないですよね。膨大な数の社員が存在するわけですし……。

和田さん
和田さん

そうです。人財情報は膨大になるので、それらの情報を蓄積するだけでなく、分析し、活用していくためにはシステムが必要になります。

どのようなシステムの導入を進めているのでしょうか。

和田さん
和田さん

人財情報をデータベース化し、可視化するだけでなく、人財の適性を即時に把握できるシステムです。それにより従業員がもつスキルや資格、評価歴などを元に適切な人財配置や育成に活用できるようになります。

なるほど。ちなみにその「人財情報」とはどういうものなのでしょう。

和田さん
和田さん

どういった職歴を持っているとか、どういうキャリア志向なのかとか、どういったところで評価をされてて、どういった能力を持っているとか。そういった具体的なデータを活用することで、最適な人財配置を行えることはもちろん、育成にも活用できると思っています。
また、社員自らに「自己紹介シート」というものを作ってもらい、登録することで社員同士のコミュニケーションの活性化にもつながると思っています。

意欲的に働き続けられる企業にするために

次に「自己成長・チャレンジを実現する制度の充実」とありましたが、どのようなことを考えているんでしょうか。

和田さん
和田さん

まずは社内公募や社内FA、また、キャリア面談などを行うことで、自律的にキャリア形成ができるような機会を作ったり、サポートしたりしていくことです。

個人で、どのようなキャリア形成ができれば良いと考えていますか。

和田さん
和田さん

よりいっそう、本人の意思に基づいたキャリア形成ができるようにしたいです。そのために、本人が意思表示できる機会を設けます。

たしかに、それが理想ですよね。

和田さん
和田さん

キャリア面談は、これまでの経験を振り返り、面談者(人事担当者)との対話を通じて、自身の価値観や強み、会社から求められる役割等を認識し、自己理解を深めたり、将来のありたい姿やそれを実現するための道筋を認識する機会を持ったりして、自身の能力開発や意欲向上の動機付けを目的としています。普段なかなかじっくり自分と向き合う時間がない中で、時間を設けて忌憚なく話をする良い機会かなと思います。また「異動希望登録」というものをスタートさせていて、⾃⼰のキャリアを考え、異動希望を表明する機会を創出することで、従業員の⾃律的成⻑、働きがい・モチベーションアップなどを図ります。

それは各従業員にとっても、自分のキャリアを細やかに考えるきっかけになりそうですね。

和田さん
和田さん

上司も部下の希望が見えるようになるので、次のステップアップに向けたバックアップをしようという動機付けにもなると考えています。

そうやって、個人にフォーカスできる仕組みをつくることが重要なんですね。

和田さん
和田さん

そうですね。そのためにも、資格取得への支援と資格手当の拡充、それぞれの自立的な成長を促せるリスキリング支援を行っています。

最後に「働きがい・満足度を向上させるいきいきと働ける環境整備」については、どのようなことを考えていますか。

和田さん
和田さん

若年層からシニア、専門人財など多岐に渡る人財を持続的に確保・育成・定着させることができる環境を整備するとともに、それぞれのライフステージに応じた施策を提供します。

環境整備やそれぞれのライフステージに応じた施策とは、具体的にどういったものでしょう。

和田さん
和田さん

男性の育休取得促進やグローバル人財や高度専門人財の育成、定年延長などですね。それぞれが働き甲斐や満足度を向上させ、いきいきと働ける環境にしたいです。

定年延長ですか。健康的にいきいきと働き続けられるようになれると、いいですよね。

和田さん
和田さん

そのために「健康経営」を推進しています。定期健診で再診となった場合の再検査費用を補助したり、禁煙外来の費用を負担したりしています。

おお、かなり細やかで具体的ですね。そこまで力を入れているのか。

和田さん
和田さん

従業員のみなさんの健康増進は西鉄が持続的に成長・発展していくためにはとても大切なことだと考えています。

まさに「働いている人は宝」という「人財」の考え方ですね。

予測不可能な未来だからこそ、希望を持つ

実際に「まち夢ビジョン2035」のメンバーに選定された時は、どのような気持ちでしたか。

和田さん
和田さん

メンバーに選定された時は正直、私にできるかなととても不安でした。バックキャストとかVUCA【Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)】とか専門的な知識もなかったので、経営企画部がおすすめする書籍を買って勉強したことを覚えています。

そのような不安は、どのあたりから払拭されていったのでしょうか。

和田さん
和田さん

皆さんと何度もディスカッションする度に、専門的なことよりも西鉄の将来がどうなっていてほしいかを考えることが大事だと考えるようになりました。そこから、不安はなくなっていきましたね。

西鉄の将来を想うことが、本質ですもんね。

和田さん
和田さん

「今ではありえないことも30年後には実現しているかも」と思うと、ワクワクするようになりましたね。予測不可能な未来だからこそ、希望を持っていたいです。

予測不可能なことって、悲観しがちで不安に襲われますもんね。希望を持って、そこからバックキャストすればいいのか。

和田さん
和田さん

今すべきこと、10年後、20年後どうなっていたらいいかを皆でじっくり考えていけばいいんだと思うようになりました。

ポジティブな考え方で、いいですね。勇気が出てきます。和田さんは、働く人にとって、どのような「西鉄」であってほしいと思っていますか。

和田さん
和田さん

従業員はもちろん、従業員のご家族やまちの皆さん、一人一人に対して寄り添えるような愛される会社になっていってもらえたら嬉しいなと思います。

そういった「愛される西鉄」になるためには、どんなことが大切になってくると思いますか。

和田さん
和田さん

「感謝」が大切だと思います。西鉄は皆さんの協力があって成り立っているので、互いに感謝し合えるような会社にしたいです。そこが、西鉄が掲げている「居心地のよい幸福感あふれる社会」にもつながると思います。そして、人財の皆さんに仕事をしながら生きがいを持てるようになるといいですね。

やはり「人財」が主役となる、考え方なんですね。

和田さん
和田さん

長期ビジョンを策定するにあたっても、「人」にフォーカスをしたいと考えていました。人財は一人一人がいなくてはならない大切な存在だと思っています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

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