「働きやすさ」や「多様性」は、今や仕事をするうえで欠かせないキーワード。どんな取り組みをしているかで、その企業の考え方がわかるという側面もある。
その実態をもっともリアルに感じられるものと言えば、服装!
というわけで今回は、働く人々のオフィスカジュアルスタイルに着目しながら、西鉄の働き方や企業文化に迫ってみた。
事業領域が広く、接する相手が部署によってさまざまなのは西鉄ならではの特徴だ。例えば、都市開発事業本部に所属する2020年入社の安部さんは、ソラリアプラザ・ソラリアステージなどの天神エリアの商業施設のリーシングを担当する。
初夏の季節にぴったりな抜け感のあるモスグリーンのジャケットに、インナーとボトムスを白で合わせてローヒールで。
アパレル店や飲食店のみなさんと接することが多いので、フォーマルなスタイルの中でもファッション性を大切にしています。
GUCCIの腕時計はお母さまからの贈り物。ネックレスやリングなどのアクセサリーも取り入れながら上品にまとめた、上級者のスタイリング……!
天神地区のまちづくりについて、天神明治通り街づくり協議会(MDC)事務局として天神のまちづくりに関わる天神みらい戦略部課長の中村さんは、ジャケットにパンツ、スニーカーを合わせたラフなオフィスカジュアルスタイル。
今日はグレーとベージュの組み合わせ。インナーやシューズはTPOに合わせて調整しています。
使う色は3色までと決め、あまり多くの色を使わないようにしているのだとか。
人事課長の小林さんは、この日はシフォン感のあるワンピースにフラットシューズを合わせて出勤。
普段は内勤がメイン。デスクワークしやすい服を選んでいます。背が高いから、靴はヒールが低めのものかフラットなパンプスを。打ち合わせや外出用に、ジャケットは常に用意しています。
社内の式典などで司会役を務めることもあり、式典や会合がある日はフォーマルなスーツスタイルで出社する。
一方で、休みの日はビビッドな色の洋服や柄物、キャップにハーフパンツなど、カジュアルな服装で過ごしているそうで「休日すれ違ったら、たぶん誰だかわからないと思います(笑)」と小林さん。
偶然通りかかった天神みらい戦略部中村さんとのツーショット。
すてきなジャケット姿がお似合いなのは、専務執行役員兼まちづくり・交通・観光推進部長 の清水さん。執務室の壁面には、これまで携わってきた業務関連のアイテムがたくさん並んでいる。
ネクタイも好きだけど、最近はクールビズスタイルですね。自動車部門で働いていた時は現場では制服、普段もシンプルなスーツ姿だったんだけど、都市開発部門を担当するようになってから、取引先との話題作りやTPOなどを考えてカジュアルなスタイルに変わりましたね。
今のようなスーツを最初に買ったときは、以前バーニーズ・ニューヨークで働いていた、都市開発事業本部の渡邉くんに選んでもらいました。彼はそれまでの西鉄にはいなかったタイプで、彼のおかげで西鉄の社員もおしゃれになっていったんじゃないかな。笑
服を選ぶ時のポイントとしては、ジャケットもシャツ、パンツもサイズ感重視なので、店舗で必ず試着して、微調整してもらってから購入していますよ。
足元は革靴かと思っていたが、「オニツカタイガー」のスニーカー。レザー仕様でフォーマルな印象だ。
歩いて通勤することもあるので、長時間履いて歩ける靴を選んでいます。これならジャケットスタイルにも合わせられますから、急な来客やフォーマルな場でも活躍しています。
オフィスで昼食をとる時は、お弁当を持参するという清水さん。引き出しの中にはたくさんの種類のお茶やコーヒーを常備する。
また、お弁当を食べ終わったら、給湯室できれいに洗って帰るのが決まりだ。
「洗って家に持って帰らないと、次から作ってくれなくなるから(笑)」
と、にこやかに、洗い終わったいつもの「洗い物セット」を戸棚にしまい、再び業務へ戻っていかれた。
専務という役職でありながらとても気さくに撮影に応じていただいた。西鉄のアットホームな雰囲気は、こういうところからきているに違いない。
鉄道事業本部の田代さんは2019年入社。連立工事事務所で今年度開業する新駅・桜並木駅の建設事業にあたっている。
通勤時や社外でのミーティング、本社に出社する際はスーツ姿。事務所で作業着に着替えて現場に入る。
暑い季節は涼しさと動きやすさ重視!ユニクロの「感動パンツ」と「エアリズム」に頼りきりです。
現場では作業着に着替える。目を引く青色が印象的だ。
鮮やかなこの色は、社内では「西鉄ブルー」と呼ばれています。近所の方から「西鉄さん」と話しかけられることもありますよ。
新駅・桜並木駅は基礎工事が完了した段階(2023年6月時点)。開業に向けて、これからも工事が進んでいく。
一方、同じ鉄道事業本部でもデスクワークがメインの社員もいる。2015年に入社した係長の永友さんは、予算管理や中期経営計画の取りまとめなどを担当する。
デスクワークがメインなので、長時間座って作業をしてもラクで、しわになりにくい服を選んでいます。無地でシンプルな洋服が多いですね。
打ち合わせではジャケットを着用してフォーマルに。
緊急時は駅に出向くこともあるため、鉄道事業本部に配属されたら制服と制帽も支給される。制服&制帽姿だと、また雰囲気が変わりそう!
住宅事業本部の久保さんは2018年入社。大学時代は設計を専門としており、入社後はマンションの設計や商品企画に携わっている。
内勤がメインなので、ゆったりとしたラクな服装です。服は明るい色が好きで、今日のインナーは黄色。あ、これ、ソラリアプラザで買いました!
打ち合わせや外出用もあるので、上着はかっちり感の出るジャケットを。たくさん服を持たないようにしていて、組み合わせの違いで変化をつけています。
吉田さんは、西鉄バスについての業務を担う自動車事業本部に所属する係長。多くの業務があるなか、吉田さんは未来の西鉄バスのあり方について考える計画担当だ。
佐賀から通勤しているので、往復で座っていてもラクな格好が理想。出かける前には奥さんのチェックがあり、OKが出た組み合わせはその後も使えます(笑)。
アディダスの「スタンスミス」は、以前広報課に所属していた時からの愛用品。広報時代はカジュアルにも使える白、現在の部署ではフォーマルスタイルに寄せて黒をセレクトした。
広報課係長の帆足さんは、西鉄の社内報の制作をメインに担当している。2カ月に1号の発行に向けて企画を考え、記事の制作会社と共に取材に同行。デスクワークもあれば外出してグループ会社に出向く機会も多い。
今日は、原稿の校了が迫っているので最終チェック専念日です。デスクワークでも疲れない、リブスカートとスニーカー、温度調節のしやすいシャツを合わせました。
取材のときはパンツにスニーカーが多いですが、訪問先や相手、動きのオンオフに合わせてカジュアル具合は調整しています。
社内報の編集作業はパソコンでの作業がメインだが、必ず原稿を出力して隅々までチェックする。
子育て中なので、服を選ぶ際はあれこれ考えず着回ししやすいものを選ぶようにしています。家で洗えてオンオフ活用できる服が中心です。
パーソナルカラーも活用して似合うものを取り入れるように意識しています。
経営企画部の野崎さんは、自動車事業本部から現在の部署へ異動したばかり。コロナ禍に中小企業診断士の資格を取得したことを機に経営企画部へ興味を持ち、この春から希望の部署へ配属が決まった。
スーツはいつも3ピースで購入し、冬はベスト姿が似合うと社内で話題の野崎さん。実は、洋服に関する悩みがあると言う。
オフィスカジュアルに憧れているのですが、なかなかうまくシフトできないし、何をどう着ていいかわからなくて……。本当は、早くジャケパン姿でデビューしたいと思っています(笑)。
「この腕時計は、結婚の記念に当時購入したものなんです」と話すのは、「タグ・ホイヤー」の代表的モデル「CARRERA(カレラ)」。細身の野崎さんのスタイルによく似合うフォルムだ。
西鉄社員のオフィスカジュアルを見ていると、かなりラフなスタイルが多いことを感じた。
このオフィスカジュアル文化は、あるきっかけをもとに浸透したという。
西鉄では、2017年から「POT3.0(Project for Our Tomorrow)」というプロジェクトを立ち上げ、変化するビジネス環境の中、今後も西鉄が新たな価値を生み出し続けるために、目指したい企業文化とそのために必要な環境づくりをまとめ、実行プランを作成した。
管理職の育成や成長を促すフィードバックの習慣のほか、役職名ではなく「敬称呼び」を採用するなど、日ごろの行動に関わる部分も大きい。
オフィスカジュアルの推奨もその取り組みのひとつ。こうした改革は、社内でどのくらい根付いているのか。今回撮影したメンバーのなかでもっとも若手の都市開発事業本部・安部さん(2020年入社)に聞いてみると……
私が入社した時は、すでにオフィスカジュアルが当たり前の雰囲気でした。スーツ以外の服装も普通ですし、スニーカーを履くこともあります。いずれにしても、相手やシーン、TPOに合わせて洋服を選ぶことが大事だと考えています。
専務の清水さんも、社内の雰囲気の変化を感じている。
ここ10年ほどを見ても、社内の雰囲気は明らかに変わったと思います。私自身もフラットな雰囲気を作り出せるよう意識して、着る洋服が多様になったし、社内でオフィスカジュアル講座を開いたこともありました。こうした変化が、多様な働き方につながればと願っています。
着る洋服や相手の呼び方など、ひとつの小さな変化の積み重ねが「働きやすさ」につながり、企業の「文化」となっていく。
働くときの服装って、奥が深い!