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西鉄の新入社員研修に潜入!
トヨタと協同・NFTを活用した
スタンプラリー研修に密着

西鉄の新入社員研修に潜入! トヨタと協同・NFTを活用した スタンプラリー研修に密着

2023年の新入社員研修で、西鉄自動車事業本部は新たな企画にチャレンジした。おでかけアプリ「my route(マイルート)」で協業する、トヨタファイナンシャルサービス株式会社と企画した「NFTスポットラリー研修」だ。

今回、NFTを活用した最新の研修の様子をご紹介。

目次

西鉄の新入社員研修って?

バスや鉄道に限らず、住宅、都市開発、物流など幅広い領域で事業を展開する西鉄。自動車(バス)や鉄道といった事業をはじめ、不動産や国際物流など大きく6つに分かれている。

これ以外に、総務部や広報・CS推進部、まちづくり・交通・観光推進部など14の部署があり、グループ企業と連携しながらさまざまな事業を展開しているのだ。
2023年度に西鉄へ入社した地域マーケット部門の総合職新入社員は、4~6月末までの3カ月間でさまざまな部門をまわり、基本的な事業内容を学んだあと、正式に配属先が決定される。

最新技術を使った「NFTスポットラリー研修」

それぞれの部署で研修を実施するなか、2023年には自動車事業本部が新しい研修にチャレンジした。西鉄も大きく関わるおでかけアプリ「my route(マイルート)」で協業する、トヨタファイナンシャルサービス株式会社と企画した「NFTスポットラリー研修」だ。

昨年より、社内コミュニケーションチャットなどを利用して初めて実施したこのスタンプラリー研修。 アナログで行っていたバス停スポットラリー研修を今回はトヨタファイナンシャルサービスが開発中のシステムを使い、バージョンアップされて実施された。

参加した28名の新入社員たちは、まずは本社会議室で研修に使用されるNFTや開発中のサービスについて学んだ。今回は、NFTの特性と西鉄バスの拠点を掛け合わせた、デジタル×リアルのスタンプラリーが研修の目玉となった。

■ルール説明

デジタルスタンプラリーでは、西鉄バスを乗り継いで福岡市内に点在する20カ所のポイントをまわり、支給されたスマホでデジタルスタンプ(NFT)を収集。効率的なルートを考えて、制限時間内にすべてのNFTを集めて本社に戻って来たチームが上位となる。

【制限時間】6時間(12時~18時)
【入賞条件】制限時間内に20個のNFTを集め、会場に戻ってきたチームの勝利
【チーム編成】1チーム4名、行動単位は最小2名
【その他】
・移動手段は西鉄バスと徒歩のみ
・20カ所目のポイントは、NFTを19個取得してから通知される

【NFT獲得方法】獲得方法は2種類
①スポットに設置されたNFCタグにアプリ(スマホ)をかざす
②アプリの機能により他のプレイヤーから転送してもらう
※1つのNFCタグから獲得できるのは、1人につき1個のNFT。
※NFTの転送は参加者であれば誰とでもOK。チームをまたいだやり取りも可能。

説明を受けた後、新入社員たちはAからGまで7チームに分かれて作戦会議を実施。どのメンバーがどんなルートをまわれば効率的にデジタルスタンプを獲得できるのか、路線図入りの地図とにらめっこしながら、チームごとに行動予定を立てていく。

エヌカケル編集部が密着したAチームは、向井慶介さん、寺村周子さん、赤星竜之介さん、諏訪佑香さんの4名。

(左手前から時計まわりに)諏訪佑香さん、向井慶介さん、赤星竜之介さん、寺村周子さん

20カ所のNFTスポットのうち、いくつかは「???」とだけ書かれている。ヒミツのNFTポイントを見つけ出し、ルートを考えながらタイムスケジュールを検討する。研修会場は、次第に白熱した雰囲気になってきた。縦横無尽に走る西鉄バスがカバーする範囲は広く、離れたNFTポイントをまわるのはけっこう難しいのだ。

さらに、「取得したNFTを交換できる」という条件に着目した新入社員たちの間では、他のチームと交渉してNFTを取得しようと、大人の情報交換や心理戦が始まった。時間内に回り切れそうにないルートを互いにカバーしあう「協定」のようなものを結ぶ選択肢もあるが、だまされないとも限らない……!

西鉄バスに乗ってNFTスタンプラリー

行動計画が決まり、午後はチームのスケジュールに沿って西鉄本社(福岡市中央区博多駅前)を出発。Aチームは、向井慶介さん&寺村周子さん、赤星竜之介さん&諏訪佑香さんに分かれてスタートした。

まずは、向井さん&寺村さんペアについて行くことに。「雑餉隈車庫」のバス停を目指して、西鉄本社最寄りの「駅前四丁目」からバスに乗車。

バスで移動中に、地図を広げて後の動きを確認する2人。こんな時こそバスナビが大活躍!

最初の目的地、「雑餉隈車庫」バス停に到着。

NFCタグの場所を探すものの、なかなか見つけられない2人。焦っていたところ、休憩中の西鉄バスの運転士さんを見つけて尋ねてみることにしたら……なんと、連節バス(BRT)の研修で取材した、竹下営業所に所属する森田大輔さんだった!

NFCタグは、バス停のこの位置にあった。

他のチームのメンバーも一緒にスタンプを読み込んで、NFTをゲット!

続いて、近くにあるNFTスポット「西鉄バス研修センター」でも無事にNFTを獲得。

しかし、次の目的地までのバスに乗る時刻が迫っている……! 急がなければバスに乗り遅れてしまうので、全力でダッシュ。

……なんとか間に合った!!

ここで向井さん&寺村さんペアと別れ、西新まで移動して「城西一丁目」で赤星さん&諏訪さんペアに合流。

15時44分の時点で、なんと赤星さんが16個のNFTを集めて1位に!

残りのスタンプは他チームに依頼したNFTを転送してもらうのみだったので、この時点でAチームは待ちの状態に。

ラスト1個の「謎の」NFTスタンプの場所を天神か博多付近だと予測して、ひとまず薬院まで戻ることにした。

薬院大通りまで戻ってバスを降り、しばらくすると、他チームに依頼していた最後のNFTが転送されてきた。

19個がそろった後、通知された20個目のNFTスポットは……

自動車事業本部がある西鉄本社2階!

ここから戻れば、もしかして、優勝できるかも……?!

そわそわしながらバスに乗り、住吉通りを博多駅方面へ。「住吉」で降りるかどうか迷ったが、そのまま通過。「駅前四丁目」に到着する前に本社入口を見ると、別のチームが玄関前で待機している様子が見えた。

バスを降りた瞬間、走って本社内に入る別チームを目撃!

赤星さん&諏訪さんペアも、慌てて本社に駆け込んだ。

自動車事業本部がある2階でNFTを取得し、急いで階段を上がって5階のゴールを目指したけど……

わずか10数秒の差で負けてしまい……結果は2位。力尽きてその場に倒れ込んだ赤星さん(笑)

結果発表とふりかえり

18時に全チームが帰社した後、スタンプラリーの結果が発表された。また、Aチームのメンバーには、研修を通して感じたことや学んだことを語ってもらった。

向井さん
向井さん

普段は行かないエリアに行ってみることができて、そのエリアの人々がどんなふうにバスを利用されているのか実感が湧きましたね。

諏訪さん
諏訪さん

伊都や野方など西区のエリアは普段あまり行くことがありませんでしたが、今回乗車してみたことで、西鉄バスのカバーする範囲の広さを体感できました。野方(壱岐営業所)は、利用する路線によって乗車場所が違うことも、この研修を通して初めて知ることができました。今後も、現場に足を運び、利用者目線での気づきを大切にすることを意識していきたいと思いました。

寺村さん
寺村さん

雑餉隈や竹下など土地勘がない場所では、現在地からどのバス停に行けば目的地まで行きやすいのか迷うことがありました。便利だったのは「西鉄バスナビ」アプリです。機能を知ってうまく使いこなせたら、もっと移動がスムーズになりそうです。

赤星さん
赤星さん

西区のマリナタウンを走る路線では、団地内をバスがぐるりと巡回するルートになっていて、公共交通が地域に果たす役割について考えるきっかけになりました。
私は福岡出身で、高校時代は山の中を通る路線バスで通学していました。当時の経験からも、西鉄バスは都心の大きい道だけを走っているのではなく、地域に根差していることを、今回の研修を通して再認識することができました。

この研修の翌日には、全体でふりかえりを実施。各自の気づきや発見を、チーム内や全体で共有した。
Aチームの健闘に拍手!

研修のねらいと今後の活用について

西鉄の自動車事業本部 とDX・ICT推進部、トヨタファイナンシャルサービス株式会社の合同チームで開催された今回の「NFTスポットラリー研修」。

企画の中心となった自動車事業本部の村山直暉さんとトヨタファイナンシャルサービス株式会社の岸本隆平さんに、研修実施のねらいや感想、今後の活用について話を聞いた。

岸本さん
岸本さん

今回の研修では、私たちが開発中の「my spot」というアプリケーションを使いました。西鉄の新入社員のみなさんには、その機能を先行体験してもらったので、研修の内容やフィードバックをもとにさらに開発を進め、近いうちに世に出るプロダクトとして仕上げたいと考えています。

NFTの技術を活用した背景は?

岸本さん
岸本さん

おでかけアプリ「my route」のMaaS領域をはじめ、当社は多くの新事業に取り組んでいます。そのなかで私たちのチームはブロックチェーンの技術に注目し、研究開発に力を入れています。ブロックチェーンを基盤にして作られるNFTには、転送や交換ができたり、資産性があったりと、さまざまな特徴があります。移動を証明するデータとして使えることからも、NFTはデジタルスタンプラリーにぴったりだと考えました。

モビリティの世界において、今後の大きな課題となるのは「GPS情報の取得」です。NFTをうまく活用すれば価値のある情報を残すことができ、生かすことができる。とても多くの可能性を秘めた技術なので、これからもチームで研究開発を進めてサービス化につなげたいと考えています。

自動車事業本部の村山さん。今回の研修を終えた感想は?

村山さん
村山さん

チームで協力しながら奮闘する様子を会社のモニターや端末でチェックしながら、どのチームが一番に帰って来るかドキドキしながら見守っていました。参加した新入社員のみなさんが楽しんでいる様子を見ると企画した私たちも大変うれしく、やりがいを感じました。

この研修のねらいは?

村山さん
村山さん

実際に西鉄バスを利用し、お客さま目線でサービスを考える重要性を感じてもらうことです。西鉄バスは天神や博多を中心に、東西南北にルートに路線が張り巡らされています。新入社員が自ら行動計画を立ててバスで移動することで、ダイヤのつながりを感じたり、逆にサービスの課題を感じてもらったり、今後西鉄で働くうえでも重要なお客さま目線を身につけてもらうことが目的です。
また、自動車事業本部の仕事として、お客さまの利用状況も見ながら地域に密着したダイヤを提供しているため、地道な作業も大切になります。一方で、こうした最先端の技術に触れながら、新しい取り組みやサービスづくりに携わることができるなど、自動車事業の今後の可能性についても新入社員のみなさんに感じてもらえたらと思います。

研修を企画した、西鉄の自動車事業本部とDX・ICT推進部、トヨタファイナンシャルサービス株式会社のメンバーで
  • 岸本 隆平さん
    岸本 隆平さん

    トヨタファイナンシャルサービス株式会社
    イノベーション本部
    ブロックチェーングループ マネージャー
    ブロックチェーンに興味を持ち、他業界から転職して2022年7月に入社。新しいサービスの研究開発を推進するイノベーション本部に所属する。

  • 村山 直暉さん
    村山 直暉さん

    西日本鉄道株式会社
    自動車事業本部 業務部 業務担当
    2018年入社。人事部を経て、2021年より自動車事業本部。「NFTスポットラリー」研修の企画運営の中心メンバー。

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