2024年9月 、「エマックス・クルメ」から「レイリア久留米」に生まれ変わる西鉄久留米駅ビル。新しくなった駅は、いったいどう変わるのか? 入居するテナントを一部ご紹介するとともに、 西鉄のまちづくりの考えと沿線地域への想いを聞いた。
鉄道駅とバスセンターが併設する西鉄久留米駅ビルは、地域の重要な交通拠点だ。西鉄の他の駅と比べると通勤や通学での利用客が多いのが特徴で、利用者は1日約28,000人 。ラッシュの時間帯は混み合う一方で、日中は近所の買い物客も多く、地域に住む人々が集まるの“いこいの場”となっている。
大規模地震への安全対策として、2019年から耐震補強工事を進めていた西鉄久留米駅ビル。この工事を機に、利便性を高め、より快適な駅をめざすために商業施設「エマックス・クルメ」のリニューアル計画がスタートした。
【フロア構成】
1階 にしてつストア 久留米タミー店(スーパーマーケット)など
2階 専門店街、味のタウン(レストラン)
3階 雑貨館インキューブ、シティコンタクトなど
4階 ブックセンタークエスト
これまでの機能を生かしながら、さらに便利で快適な駅を目指した西鉄久留米駅ビル。「行き交う人がちょっと一息つける、街の中のオアシス空間」をコンセプトに、1階・2階を全面的にリニューアル。
1階の「にしてつストア久留米タミー店」は、2024年3月にリニューアルオープン予定。また、西鉄ストア入口前面には今回新たに食物販店舗やスーパーと相性のよい惣菜店舗 が入居するテナント区画を設け、魅力的な食物販・飲食ゾーンへと進化する。
商業施設「エマックス・クルメ」のリニューアルにあたり、西鉄はどのように計画を立て、実行に移したのか。その背景には、西鉄久留米駅ビルが抱えていたいくつかの課題があった。リニューアル計画を担当する、都市開発事業本部に所属する中野可奈子さんに話を聞いた。
まず取り掛かったのは、西鉄久留米駅ビルが抱える課題の洗い出しです。鉄道やバスを利用されている会社員・学生の層をエマックス・クルメに取り込めていなかったり、約55年間、改装をしていなかったため施設の老朽化が進み商業施設としての魅力が下がっていたり、いくつかの課題が見つかりました。
百貨店「岩田屋 久留米店」や商業ビル「リベール」がある東口は、店舗の室外機などを設置していたため、全体的に暗く、バックヤードのようになっていたことが課題であった。
店舗東側の壁をガラス面に変更し、東口側に店舗の光が漏れるよう工夫しました。夜に女性一人でも安心して歩けるよう明るく開放的な雰囲気を目指しました。バスセンター店舗は全体の店舗面積を増床し、それぞれの店舗が広くなりゆったりとした快適な空間になりました。さらにバスセンター側、東側に出入口を設けることで、店舗に入りやすくなりました。店舗構成は朝食や昼食だけでなく、会社員の方が仕事終わりにちょっと寄って、お酒を飲み一息つける店舗様に出店いただきました。
—「レガネット久留米タミー」【スーパーマーケット】
長年愛されてきた「にしてつストア久留米タミー店」が「レガネット久留米タミー」としてリニューアルオープン。生鮮食品をはじめ、九州のおいしいものが集まる地域密着型のスーパーマーケット。
—マクドナルド 西鉄久留米駅店【グルメ/食事】
—庄屋【グルメ/スイーツ】 ※25年3月オープン予定
—サーティワンアイスクリーム【グルメ/スイーツ】
—ガラージュ【生花】
—千鳥屋本家【グルメ/スイーツ】
—隆勝堂【グルメ/スイーツ】
福岡・八女で創業100年の老舗和洋菓子店。久住高原で育った鶏の卵を使ったプリンは濃厚な味わい。
—ステラおばさんのクッキー【グルメ/スイーツ】
—ユーハイム【グルメ/スイーツ】
—いなりとみおか/肉弁当TOMY【グルメ/惣菜】
オリジナルいなりを販売する「いなりとみおか」と、黒毛和牛を使ったメニューなど肉弁当専門店の「TOMY」がどちらも楽しめる。
—かつきや【グルメ/惣菜】
蒸したてのおこわや鶏めし、揚げたてのお惣菜が多彩にそろう。
—ポッポおじさんの大分からあげ【グルメ/惣菜】
—ジュピターコーヒー【グルメ/コーヒー豆、輸入食品】
—銀だこ【グルメ/食事】
—東京油組総本店【グルメ/食事】
—やりうどん【グルメ/食事】
—竹乃屋【グルメ/食事】
—かつ丼・親子丼の光(あかり) 【グルメ/食事】
—アメニータ【グルメ/食事】
「ピッツェリアアメニータ」(久留米市蛍川町)の2号店。16時以降は、生パスタやピザなどをお酒と楽しむのもおすすめ。
—ミスタードーナツ 西鉄久留米ショップ【グルメ/スイーツ】
—ゴンチャ【グルメ/カフェ】
台湾発、世界で2000店以上を展開するグローバルティーカフェ。人気は「ミルクティー」。さまざまなティーメニューを用意する。
—ヴィ・ド・フランス【グルメ/パン】
焼き立てのパンが楽しめるベーカリーカフェ。イートイン・テイクアウトともにOK。
—お酒の美術館 西鉄久留米駅店【バー】
—ローソン【コンビニ】
—保険見直し本舗
—ガチャ・プリクラstation
最新機種から可愛く盛れる人気の機種がそろうプリクラコーナーが登場。カプセルトイ・クレーンゲームコーナーでは、人気キャラ商品やマニアックな商品までが幅広くそろう。
—清陽軒【グルメ/ラーメン】
昭和27年に誕生した久留米ラーメンの老舗。「継ぎ足し製法」の熟成したスープの味わいをぜひ!
—三陽食堂【グルメ/食事】
刺身鮮度のアジとこだわり抜いた生パン粉を使用し、長崎県松浦市の自社工場で作ったアジフライを手ごろな価格で提供。西鉄久留米駅限定で学割セットも!
—ディッパーダン【グルメ/スイーツ】
米粉』を配合した生地を使い、特別な製法で一枚一枚焼き上げたクレープを提供。サクサク、もちもちと変化する食感が特徴。
—焼麺 すたん堂【グルメ/食事】
福岡市香椎にある本店の人気メニュー「焼きそば」が専門店に。日田やきそばをベースにした熱々の「焼麺」や定食が楽しめる。
以前は西鉄大牟田線の利用者のメインである学生や会社員といった客層を、商業ゾーンに取り込めていないのが課題でした。その一方で人気のコーヒーショップの新作が出ると、中高生や学生など若い世代が行列をつくり、夕方になると階段に座って話し込んでいる若者がたくさんいました。
そこで、「フードコート」を新たに設置し、利用者が気軽に滞在できる環境を整備しました。約200席あるのでグループでも気兼ねなくご利用いただけます。
西鉄沿線やその他数々の地域でまちづくりを進めている西鉄は、どのような考えを持って地域と向き合い続けているのか。西鉄久留米駅ビルのリニューアル計画のベースとなったのは、西鉄大橋駅に2019年にオープンして以来、売上を伸ばし続けている「レイリア大橋」(福岡市南区)だったと中野さんは話す。
テナント区画のデザインにあたり、参考になったのは西鉄久留米駅のように幅広い年代が利用する「レイリア大橋」の事例でした。ベビーカーが通りやすいようテナント間の通路幅を広めに取ったり、回遊しやすい店舗の配置を考えたり。お客さまに求められる機能を的確に判断することができました。
テナントのリーシングでも「レイリア大橋」やその他の商業施設での実績が役に立った。バスセンター1階に入居する居酒屋「竹乃屋」は、「レイリア大橋」 「ソラリアステージ」でも人気のテナントのひとつ。西鉄久留米駅ビルの出店についても「レイリア大橋」の好調が後押しとなり出店を決断いただいた。
また、西鉄久留米駅ビルのデザインの一部に地域ゆかりのモチーフを取り入れた視点も、さまざまな事業を展開する西鉄ならではのポイントだ。
観光客の方々にも喜んでもらいたいという思いから、今回は施設のデザインの一部に久留米絣の柄を取り入れました。「レイリア大橋」は温かみのあるウッド調がベース。その土地ごとの特性や利用者などを考慮し、地域の魅力を表現する場所にしたいという考えからです。
西鉄久留米駅ビルでは、久留米市中心市街地の活性化を目的に、周辺商業施設や周辺企業、商店街と連携し、積極的にイベントへの参加を予定している。
こうした企画は、地域の法人や百貨店、商店街が連携して各種施策に取り組む「(一社)We
Love久留米協議会」との月一度のミーティングなどを経て、駅一帯で連携して計画される。
イベント企画においても、「レイリア大橋」のある大橋駅西口広場での経験が役立ちそうです。定期的に開催している「パンまつり」も毎回行列ができ、とても好評なんです。また、クリスマスマルシェでは地元のNPO団体と一緒にイベントを作り上げたり、先日開催した大橋サマーフェスティバルではレイリア大橋としてブースを設けて参加したりと、地域の皆さまと一緒になってまちを盛り上げています。この経験をぜひ「レイリア久留米」でも活かしていきたいですね。
さらに、西鉄は西鉄久留米駅や西鉄高宮駅などの高架下にあるテナント の運営も管理している。
まちににぎわいをもたらすために、重要な役割を果たす公共交通。都市の心臓部となる鉄道駅やバスセンターのデザインから運営までを担い、そのまちの未来を地域の人々とともに描き出すことこそが、西鉄の重大な使命なのだ。
駅を利用するお客さま以外にもたくさん足を運んでもらえるよう、「(一社)We Love 久留米協議会」 のみなさんと連携して魅力的なイベントを企画していきたいと考えています。商業施設の運営やまちづくりなど西鉄の経験やノウハウを生かしながら、これからも安全で便利で、滞在したくなる駅や商業施設をつくれたら。
2024年9月末 には、すべての商業区画がオープン予定。新しくなった西鉄久留米駅ビルへは、ぜひ西鉄電車か西鉄バスで!
西日本鉄道株式会社
都市開発事業本部 営業部 沿線担当
2020年入社。都市開発事業本部に配属となり、「チャチャタウン小倉」(北九州市)で約2年間勤務。2022年から西鉄久留米駅を担当。「レイリア久留米」リニューアル計画に携わる。