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夜行バスは狭くて寝にくい——そんなイメージを覆すのが、西鉄が運行する、福岡・北九州~東京間を結ぶ夜行バス「はかた号」だ。1台に4席しかない個室型のプレミアムシートはもちろんのこと、ビジネスシートも居心地抜群。その快適さから、いつしか「キング・オブ・夜行バス」とまで呼ばれるようになった。
なぜこれほど快適で、注目を集めているのか?ハード・ソフトの両面から、そのひみつに迫る。

西鉄が運行する「はかた号」は、福岡・北九州と東京間約1,100kmを結ぶ夜行バス。座席は指定制で、プレミアムシート4席とビジネスシート18席。運行は1日1往復で、福岡と東京の間を東京行きでは約14時間39分、福岡行きでは約14時間17分をかけて走っている。
その「はかた号」が、いつの頃からか「キング・オブ・夜行バス」と呼ばれるように。なぜ「キング」なのか?さまざまな側面から、キングたる所以を証明したい。
では、なぜ「はかた号」はすごいのか。その第一の理由は、安全と快適さを重視して作られた車内環境にある。

車内前方にある個室型のプレミアムシートは、1台に4席だけの特別席。カーテンを閉めれば完全なプライベート空間となり、上質なリラクゼーションと快適な眠りを約束してくれる。本革シートで110度の電動リクライニングが利用できるほか、座面送風や背面ヒーター機能まで完備されている。

テーブル利用時はこんな感じ。テーブルはスリムだが横に広く使えるので、食事をしながらタブレットやノートパソコンを開くこともできそうだ。


そのほか、ワイヤレスタイプのスマホ充電器やUSBポートなども完備しているので、電源の心配はなし。Wi-Fiの利用はもちろん無料だ。


さらに、スーツやコートをかけるハンガーまであるので、洋服がシワになる心配もしなくてOKだ。


車内後方にあるビジネスシートも、プレミアムシートには負けずに快適さが追求されている。シートは3列独立型で18席。高級感のある本革とモケットシートで、振動を和らげるダブルクッション付きだ。また、Wi-Fi、USBポート、レッグレストも搭載。フェイスカーテンで1席ごとの“個室空間”をつくれるので、隣の人の視線が気になることもない。



プレミアムシートと比べてお得な価格で利用できるビジネスシート。よりカジュアルにコスパ重視で移動したいなら、ビジネスシートをイチ推ししたい。
「はかた号」に乗車すると、フェイスマスクやお茶、さらさらシート(プレミアムシートのみ)が配布される。さらに、アイマスクやスリッパ、ブランケットなども用意されていて、まるでホテルの一室にいるかのようなサービスを受けることができる。

なかには、フェイスマスクやお茶を手渡しする運転士もいて、そのホスピタリティが「はかた号」に乗車した人のブログやSNSなどで話題になることも少なくない。
ほとんどの乗務員が「一期一会を大切にしたい」との思いで、挨拶を兼ねて手渡ししている。

また、「筆談ノート」の準備やプレミアムシートのSOSボタンなど、声を出しにくい状況でも乗務員と対話ができるよう、万全の心配りがなされている。こうした細やかな配慮が安心や快適さにつながっている。


「はかた号」の運行開始から35年。移動手段として進化し続け、安全に安心して多くの方々に利用してもらい続けるには、車両やサービスの質を高めるだけでなく、ハイレベルな運転士の確保が必要不可欠だ。
取材を進めるなかで、「はかた号」の運転士になるためには厳しい審査を通過した上で、技術と経験を積み重ねていく必要があることがわかった。

「はかた号」の運転を志望する運転士は、まず「はかた号」など高速バスの運行を担当する「博多営業所」への転属試験に合格する必要がある。受験のためには乗務経験や健康面など一定の基準をクリアする必要があり、その門戸は決して広くはない。晴れて合格し「博多営業所」配属となっても、すぐに「はかた号」に乗務できるわけではなく、近距離路線→長距離路線→夜行路線と徐々にステップアップしていく必要がある。
このように多くのハードルが待ち構えているので、「はかた号」を目指す運転士は自然と自己研鑽を続けることになる。その運転技術は西鉄バス運転士のなかでもトップクラスであることは間違いない。
また、35年運行を続けてきたノウハウもしっかりと語り継がれている。夜行高速バスはツーマン運行で、乗務時は先輩乗務員と道のりを共にする。
先輩からのアドバイスは、過去の失敗を教訓に、危険な場所の共有(ヒヤリハット箇所)や、アクセルワークや排気ブレーキの使用箇所なども乗務員同士で受け継がれている。
さらに「はかた号」では、中国自動車道小月ICから小郡JCTまでの間、規制速度は80キロだが、70キロでの走行を義務付けている。アップダウンが続き、またカーブもきつく、バス・乗用車問わず非常に危険な場所であることから実施している独自の取り組みだ。
「はかた号」の運転士への高いハードルと35年の運行ノウハウがあってこそ、安全・安心・快適な運行が約束されている。
そんな「はかた号」を運転する2人のドライバーに、「はかた号」の運転を志したきっかけや日ごろ業務で気を付けていること、働きがいについて聞いてみた。
2004年に愛宕浜自動車営業所に配属となり、2014年に博多自動車営業所へ転属。2016年に「はかた号」デビューを果たした騎馬覚さんは、ドライバーだけではなく管理者としての役割に立つこともある。

最も気を配るのは「乗り心地」です。クラッチのつなぎ方やブレーキの踏み方など、お客さまの眠りを妨げないよう細心の注意を払っています。ただ、乗り心地を保つのにもっと大事なのは「平常心」なんです。1,100キロを走る夜行バスも、昼行便の近距離の高速バスも、路線バスも同じ。夜行バスだけを特別視せず、日常のすべてに気を抜かないことが大事だと考えながら、日々業務にあたっています。
2015年に西鉄バス佐賀鳥栖支社に配属。2018年に博多自動車営業所に転属し、2021年に「はかた号」デビューを果たした山内翔伍さんも、騎馬さんと同じように「いつも通り」を胸に「はかた号」に乗務していると話す。

“いつも通り”を守るために、あえて特別な準備をしています。普段は制服のシャツを着て出勤しますが、はかた号の日はシワを防ぐためにハンガーにかけて出勤。専用の靴に履き替え、車両点検にも時間をかけるなど、運転士としての気持ちを切り替えます。

1,100キロという長距離運行を平常心で臨むということは、つまりは日ごろから運転技術も精神面も高いレベルで安定していることが求められる。長年経験を積んだプロフェッショナルだからこそ「はかた号」に乗車することができるのだ。
座席は通常席であるビジネスシートと、個室型のプレミアムシートの2種類が用意されている。料金は変動制運賃を採用しているため、大人1名あたりビジネスは9,000円~20,000円、プレミアムは18,000円~25,000円となっている。

乗務員2人組で運行される「はかた号」。上りは、博多バスターミナルから小倉駅前まで一人が運転し、もう一人がトランク作業と車掌業務(お客さまへの案内)を担当する。小倉駅でお客さまが乗車した後は、車掌業務をしていた乗務員はトランクルーム横の仮眠室へ。
その後、山陽自動車道・佐波川SAで乗務員交代および10分から15分程度休憩。人数確認をした後、乗務員2人で協力してビジネスシートのカーテンを閉めて消灯に入る。
その後は、静岡SAまでは就寝タイム。乗務員は数回休憩・交代を挟みながら、静岡SAに到着したら洗顔・トイレなどのため休憩時間を設け、乗務員はカーテンを開ける。それから間もなくすれば東京・バスタ新宿に到着だ。
充実した設備に加え、西鉄バスの運転士の技術力とホスピタリティがそろった夜行バス「はかた号」。そのすべてが「安心・安全・快適」につながっている。
そんな「はかた号」のすごさを知ってぜひ乗ってみたいと思ったら、西鉄の公式サイトやアプリでの予約が便利だ。
乗車予約は、2か月前から可能!週末や連休は混雑しやすいので、平日の移動や早めの予約がおすすめ。リラックスして長距離移動したい時や、時間を効率的に使って移動したい時こそ、ぜひ「はかた号」を利用してみてください!
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