Nishitetsu Online Magazine

西鉄の未来の事業を考える
社内プロジェクト「NIT」
中間発表で各グループが活動報告!

西鉄の未来の事業を考える 社内プロジェクト「NIT」 中間発表で各グループが活動報告!

目次

西鉄の長期ビジョンを描く「NIT(ニット)」って?

にしてつグループの長期ビジョン「にしてつまち夢ビジョン2035」の実現に向けて発足した社内プロジェクト「Nishitetsu Innovation Team」、通称「NIT(ニット)」。有志の若手社員20名が集まり、2023年度から2024年度まで、西鉄の未来の新しい事業についてアイデアを出し、実現に向けて2年間検討していく。

NITについての紹介記事はこちらから!

参加者の社歴は入社2年目から23年目まで。所属部署は鉄道・自動車・都市開発・ホテル・海外開発など多様な人財がそろうなか、5名ずつ4チームを形成。2023年9月からは、経営企画部主導で外部講師を招いた講演会や交流会を月に一度のペースで開催。

さらに、アイデアについてはグループごとに個別にミーティングの場を設定し、取り組みたい事業をまとめていった。その途中経過を社内で共有する「中間発表」が開催された。当日は役員も聴講し、アイデアについてのアドバイスも。

各チームが提案したアイデアの一部を以下に紹介する。

各チームが提案した未来志向を意識した主なアイデア

日々の生活やビジネスシーンにおいて「多様性」がキーワードとされる近年。そうした社会の傾向から、「枠」を決めないシームレスなくらし方・働き方を実現するための【3つのグラデーション】をアイデアとして提案した。

①居場所のグラデーション「サードプレイス創造(dococai)
自宅以外の趣味の場所を持ち、同じ趣味を持つ人で空間をシェア。手軽に趣味を楽しめるサードプレイスを、サブスクリプション制で楽しめるプランだ。

②住まいのグラデーション「住み替えサービス(machi match)
住む人と住む場所のミスマッチを防ぐため、住みたい地域に短期間だけお試しで希望の家に住めるサービス。家具や設備などハード面の拡充は、中古空き家物件やメーカー、小売業者などと手を組むビジネスモデルを検討中。


③働き方のグラデーション「Creative Challenge
労働力不足の解決や労働のシームレス化、リスキリングといった西鉄社内の人財課題をクリアするために、社内向けの人事制度やスキルシェアを提案。

各提案内容に対しては、

■(①について)他社でも真似できそうなので、圧倒的なスキルやテクノロジーがないとスケールしにくそう。
■(①②について)マネタイズポイントをしっかりと追求していってほしい。
■(③について)社内の現行の仕組みとの差別化あるいはマッチングが肝心。


といった意見が出て、今後検討すべきポイントや課題が明確になった。

また、「食」をキーワードに、植物工場をつくるアイデアを提案するチームも。生産だけでなく、輸送や販売などグループ全体の資産を生かしたビジネスモデルを計画した。

全国に視野を広げれば先行事例も少なくないアグリ事業。工場建設や運用にかかる価格的・人的コストをいかに具体的に詰められるか。また、それを踏まえた安定的なビジネスモデルの構築が今後の課題だ。

工場建設となれば、大規模な投資と長期的な事業計画が必要となる。既にJA全農と共同出資で2015年に「株式会社NJアグリサポート」を設立し、「にしてつ農園」でトマトを栽培・販売している事例もあり、

■育てる農作物は現状レタスだが、なぜ葉物にするのか議論はあったか?
■西鉄グループならではの資産を生かして、収穫してから消費者の口に届くまでの行程が縮小できればおもしろそう。
■サプライチェーンの中にいかに食い込んでいくか。「加工」という視点も検討の余地あり。

など、詳細な質問やコメントが交わされた。

NITに参加して学んだことは?

「NIT」のプログラムがスタートして約8カ月。参加した社員は、今回の中間発表までにどんなことを学び、考えてきたのか?「3つのグラデーション」のアイデアを提案したグループの大熊晃太郎さん(入社6年目)と「食」をキーワードにしたアイデアを提案したグループの藤田蘭子さん(入社4年目)に話を聞いた。

中間発表でのアイデアは、どのようにまとめていったんでしょうか?

大熊さん
大熊さん

全体での集まり以外に、最低でも月に一度はグループで集まって意見を出し合って決めました。提案した3つのアイデアは、それぞれ1名もしくは2名で担当者を決めてブラッシュアップを。進捗やネタの共有はTeamsを使って随時連絡を取り合いながら進めていきました。

藤田さん
藤田さん

私のグループでは2週間に1回対面でミーティングの場を設けて、情報共有や意見交換を重ねました。全員が関心を持っていたテーマが「食」だったのでそこからスタートして、いろいろ話し合いながら「植物工場」のアイデア1本に絞って発表しました。

中間発表を終えた感想は?

大熊さん
大熊さん

私は、気になった地域に短期間住むことのできる「machi match(まちまち)」というサービスを提案しました。発表後、役員の方々からビジネスモデルやマネタイズポイントなどについて質問を受けて、今後検討すべき点やクリアすべき課題が明確になりました。

藤田さん
藤田さん

発表を終えて、私たちも検討点や課題がはっきりとしてきました。実は、みんなで話し合った結果、一度「沿線の価値を高める取り組み」という原点に戻ってゼロベースでテーマを再考してみることになったんです。「食」や「植物工場」のアイデアを全く捨てるのではなく、視野を広げ相乗効果を生み出すようなことを期待して、基本に立ち返ろうという考えになりました。

大熊さん
大熊さん

中間発表で他のグループの発表を聞いて気づいた点もたくさんありました。本格的に事業モデルを作る前に、「なぜ西鉄がこの事業を手掛けるのか?」をあらためて考えることは大切ですよね。

現時点でNITに参加して良かったと感じていること、学んだことを教えてください。

藤田さん
藤田さん

第一に、普段交流できない他の部署の方々と知り合えたことが良かったですね。2021年に入社した私は、コロナ禍の影響で社内の交流会が少なかったので……。日ごろの業務で他部署との連携が必要なシーンもありますが、NITで広げた人脈が役立つこともあります。

大熊さん
大熊さん

同感です。私は入社以来ずっと都市開発事業本部なのですが、他の部署の方々の知識や経験を知ることができるのは大きいと感じています。例えば、私は商業施設の管理運営に従事した経験はあっても、マンションや戸建などの不動産物件は未経験。でも、グループのメンバーや社内の担当部署に相談することができるので、今では不安はなくなりました。

藤田さん
藤田さん

さまざまな部署のメンバーが集まっているのもポイントですよね。

大熊さん
大熊さん

だからこそ、自分の考えが凝り固まっていることに気付くこともできました。同じ部署での経験が長いと、「うちの部署ならこうする」「その場合はこう考える」など、考えが固定的になってしまうこともあって……。違う部署のメンバーといっしょだとさまざまな視点や意見にふれられるので、NITに参加してから柔軟に考える力がついたと思います。

藤田さん
藤田さん

自ら手を挙げて参加するプログラムなので、積極的な方が多くて議論が活発ですよね。私も毎回の集まりやチームミーティングが刺激的で、たくさんの学びがあります。

大手企業から外部講師を招き、講演会や交流会を毎月開催してきた2023年度。日ごろの業務では聞けない貴重な機会を通して得られる学びも多い。

大熊さん
大熊さん

特に印象に残っているのは、未来を見据えたマーケティング手法についてお話を伺ったことです。「そこに本当にマーケットはあるのか?」「マネタイズができるのか?」など、これまでに考えたことのなかった視点を得ることができたからです。

藤田さん
藤田さん

私は他社で取り組まれている新規事業について聞いたことが印象的でした。西鉄にも同様のものがありますが、入社年数に関係なく、新規事業のアイデアを募集する制度がその会社にもあるそうで、そのことを聞いて、自ら考え行動することの大切さを再認識しました。また、誰もがチャレンジできる環境、否定されない環境の大切さやありがたさも実感しました。

「参加したみなさんにとって、実りの多い時間となっているようで嬉しく思います」と話すのは、NITを主導する経営企画部の古賀さん。

「NITはにしてつグループが未来へ大きく成長していくため、従業員がにしてつグループの未来について語り合い、未来志向の意識の浸透・アップデートを目的に発足しました。これまでは、様々な外部講師や他社のみなさんとの交流を通して、普段の業務では得ることができない知見や思考をNIT参加のメンバーにインプットしていただきました。」

「中間発表ではそれぞれ事業分野で活躍するメンバーの一人ひとりの思いや経験が融合し、
ワクワクする未来のアイデアがたくさん提案されました。本年度はアイデアを事業計画として落とし込み、事業性を判断するフェーズに入ります。事業性判断では悩ましいこともたくさん出てくると思いますが、経営企画部としても全力でサポートし、メンバーの皆さんで楽しく盛り上げながら、NITの取り組みを進めていければと思います。」

どんな事業が生まれる? 今後のスケジュール

外部講師を招いた講演会や他社との交流会は、今後も月に1回のペースで実施していく予定。その間に、各チームはそれぞれのアイデアをブラッシュアップしていく。

市場調査を兼ねたヒアリングや現地視察など社外での活動も、今後本格的に始動する。2024年12月までには予算も含めた最終案を固める必要があるので、残された時間はあと数カ月……!ここからどんな事業が生まれるのか、エヌカケルでは引き続きレポートしていきます。

  • 大熊 晃太郎 さん
    大熊 晃太郎 さん

    西日本鉄道株式会社
    都市開発事業本部 ビル・SC事業部 チャチャタウン小倉

    2019年入社。都市開発事業本部で「レイリア大橋」の運営や、沿線商業施設のテナントリーシングなどを担当。現在所属する「チャチャタウン小倉」ではリニューアルとリーシングの業務に従事している。

  • 藤田 蘭子 さん
    藤田 蘭子 さん

    西日本鉄道株式会社
    自動車事業本部 未来モビリティ部 モビリティサービス担当

    2021年入社。高速バスの企画乗車券やインバウンド向け事業を担当。2024年4月からは自動運転バスや九州MaaS事務局運営に携わっている。

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