旅行の楽しみと言えば、やっぱりグルメ。限られた滞在の中で、なるべくたくさんの美食にたどり着きたいなら、旅の拠点となる宿泊先選びはかなり重要なポイントだ。
全国にさまざまなホテルブランドを展開する西鉄ホテルズ。そのなかでも、提供するブッフェが「豪華ですごい!」「やりすぎでは?」など、群を抜いて高評価を得ているのが、北海道・札幌で2021年2月に開業した「ソラリア西鉄ホテル札幌」だ。
JR札幌駅や地下鉄南北線さっぽろ駅からは徒歩圏内。北海道庁旧本庁や札幌市時計台、大通公園などの観光名所にもアクセスしやすく、立地の良さも人気の理由のひとつ。
有名宿泊予約サイトでも、「じゃらんアワード2023」や「楽天トラベルゴールドアワード」(2023年)など数々の賞を受賞してきた人気ホテル。話題の発端となった朝食ブッフェのメニューを一挙公開。開業から現在に至るまで開発をリードしてきた加藤料理長にも話を聞いた。
ブッフェ会場となるのは、ホテル2階にあるレストラン「SOLVERT(ソルヴェール)」。北海道庁旧本庁舎の庭園の木々と太陽の光がやさしく照らし出す、開放的な空間が印象的だ。
朝食スタートは6時30分。開店すぐに入店しようと、6時過ぎには宿泊のお客さまが集まりはじめ、開店直前にはすでに数十人の行列が! それもそのはず。6割以上(多い時は300人以上!)ものお客さまが、朝食ブッフェを予約しているという。
人気朝食スポットである「二条市場」など、近隣に多くの競合が立ち並ぶなか、この利用率の高さはまさに驚き……!
北海道グルメのほとんどを味わえるといっても過言ではないブッフェメニュー。なかでもいちばんの目玉は、豪華な海鮮を好きなだけ味わえる「海鮮丼」コーナーだ。
北海道産のいくらやそのほかにもサケやイカなど新鮮な魚介類が存在感を放っている。ブッフェでは比較的安価なマスのいくらを使うお店が多いなか、ソラリアで味わえるのは高品質なサケのいくら。この味、一度食べたらやめられない!
ビネガーを使った酢飯とオリーブオイルで仕上げる洋風の海鮮丼。他では味わえない一品だ。もちろん、白ご飯も用意されているので1杯目・2杯目と二度欲張っておかわりしてもOK!
海鮮以外に、肉や野菜、フルーツも新鮮でおいしい北海道。十勝産の「インカのめざめ」を使った「じゃがバター」は、自家製の海藻バターをたっぷりと。さらに、イカの塩辛ものせて味わうのが現地流だ。
ザンギ(鶏の唐揚げ)やジンギスカン、スープカレーなど、北海道の名物が並ぶのもうれしい!
大人気のフルーツの食べ放題コーナーは、なくなるのが早いので最初にキープしておくのがベスト。イチゴやメロン、シャインマスカットなど、季節ごとに旬の味覚が登場、こんな高級フルーツが食べ放題だなんて……!
さらに、シェフがその場で作ってくれる「ホワイトフレンチトースト」も必ず食べたい名物メニュー。ココナッツ風味のホワイトソースがアクセントになっている。
いくらなどの海鮮にフルーツまで、朝とは思えないほど豪華なラインナップ。お客側としてはうれしいけど、さすがにやりすぎなのでは……?!その裏側を、人気ブッフェの仕掛け人である料理長の加藤竜介さんに聞いた。
専門学校卒業後、札幌駅直結の「JRタワーホテル日航札幌」で17年間勤務。三國清三プロデュースのフレンチレストラン「ミクニ サッポロ」で経験を積み、縁があって「ソラリア西鉄ホテル札幌」の料理長に就任した気鋭の料理人だ。
朝食ブッフェは、スタート当初からこんなに豪勢だったんですか?!
現在に至るまではいろんな苦労がありましたが、質問の答えとしては、最初からこんな感じでした。やりすぎですよね? はい。自分でもそう思います(笑)。
なぜ、そこまで?!
札幌は全国屈指の朝食激戦区。周辺のホテルや飲食店はどこも朝食に力を入れていて、いろんなメニューやプランを打ち出しているんです。そうしたなか、新規開業で他店と差をつけるには、何か特別な仕掛けが必要だと考えていました。そこで掲げたメニュー開発のテーマが「やりすぎ」と「刺さる」です。
「やりすぎ」と「刺さる」?!
詳しく教えてください!
前提として、北海道の新鮮な食材を最大限に生かしたいと思いました。例えば海鮮と言えば「海鮮丼」。
コストを抑えるためにマスのいくらを使った食べ放題プランは他のお店にたくさんあったので、ソラリアではより高品質な北海道産のサケいくらを使うことにしました。原価は倍以上ですが、絶対に納得していただける味わいです。これが最初の「やりすぎ」ですね(笑)。
基本的にはいくらやイカやサーモン、イタヤ貝、甘エビなど、その日によって7~8種類が並びます。タイミングによっては本マグロを出す日もありますよ。
また、コロナ禍で営業が難しい状況のなか、雪まつりの時期にカニの食べ放題をしてみたこともありました。上司からは止められたのですが、無理をしながら何とか出し続けて……。結果的には、試行錯誤しながらも提供をやめなかったことでお店の認知が広がり、「朝食ブッフェがすごいホテル」として来店につながったと感じています。
もうひとつのテーマ「刺さる」についても聞かせてください。
北海道の海鮮を楽しんでいただくには、やはり人気の「海鮮丼」がいちばんです。ただ、よくある和風のテイストではなく、何か他のアプローチで差別化をはかりたいと考えました。
フレンチの経験を生かして考案したのは、赤ワインビネガーで仕込む洋風酢飯とオリーブオイルで仕上げる「洋風海鮮丼」。エシャロットの風味もアクセントになっています。
もうひとつ、おもしろいメニューが「ガタタン」です。札幌と旭川の間にある芦別市の郷土料理なのですが、息子の学校給食の献立表を見て初めて知り、作ってみることにしました。肉や野菜、卵など好きな具材を入れて煮込み、とろみをつけた温かいスープ。素材のうまみが効いていて、ほっとする味わいです。
見つけてくださったお客さまが「めずらしい!」と口コミで広げてくださったり、SNSに投稿してくださったりして、今では不動の看板メニューとなりました。
実演コーナーのフレンチトーストもオリジナルですか?
ホテルブッフェと言えば、実演コーナーも楽しみですよね。オムレツを作るホテルはよくあると思いますが、何か別のものはできないかと考え、オリジナルのフレンチトーストを作ることにしました。
普通のフレンチトーストではおもしろくないので、何度も試作を重ねてココナッツ風味のホワイトソースが完成しました。バターがじゅわっと染み出るもっちりふわふわの生地には、北海道産の小麦粉を使用しています。
2021年2月の開業から少しずつ知られるようになり、人気が爆発した朝食ブッフェ。しかしながら、コロナ禍の影響もあり、営業は最初から順風満帆というわけではなかった。
現在の人気を支える要因のひとつに、加藤料理長が開業当初から欠かさない毎日の習慣がある。それが、宿泊予約サイトの「口コミ」チェックだ。
お客さまの口コミはアイデアの宝庫。メニュー開発や運営のヒントが詰まっています。例えば開業当初、「アイスクリームがなかった」という口コミを見つけたのですぐにメニューに追加しました。また、「レストランの照明が暗い」という口コミを数件見たので、天井の照明を増設しました。
こうして一つひとつの声を拾いながら、次に来てくださった時にはもっと満足していただけるようにご要望に応えていった結果が今につながっています。
複数のサイトのチェックをするのは大変なのでは?
正直なところ大変ですが、それでも毎日必ず隅々まで見ていますね。もはや趣味というか、ヒントがたくさん詰まっているので、どんなコメントをいただけるのか楽しみな一面もあります。
朝食の準備のため、スタッフの出社時間は朝4時半ごろ。6時30分に営業が始まった後もずっと調理を続けている。10時にはいったん朝食が終わるが、休む間もなく11時からのランチタイムに突入。業務が落ち着くのはランチ終了後の15時以降……。
毎日40種類以上のメニューが並び、今でも十分盛りだくさんの朝食ブッフェ。多忙な中でもお店の改善やメニュー開発に余念がない加藤料理長が、今後挑戦したいことは……?
にしてつグループや「ソラリア」のことをもっとたくさんの方に知ってもらうために、日本全国や海外の拠点の名物グルメを集めた「ソラリアコーナー」を作ってみたいですね。現在、手始めとしては、ごはんのおかず用に明太子や梅ひじき、高菜漬け、鹿児島名物のきびなごなどを置いた「九州コーナー」を設けています。
国内・海外の旅行客を魅了する朝食ブッフェ。一方、約40種類のメニューが楽しめるランチブッフェ(2,800円~)は、「時間制限なしで本格フレンチメニューを堪能できる」と地元のお客さまに大人気だ。
また、ブッフェ以外に「鶏肉のキエフ風」などの「選べるメインディッシュ」を追加注文すればさらに豪華なラインナップに。
シェフ特製のアミューズは、全てのお客さまに提供しているサービスメニュー。海鮮をメインに、旬の食材をセレクトして仕上げています。アワビなどちょっと高級な食材を使うのもポイントですね。
緑ゆたかな北海道庁旧本庁舎庭園に面するロビー。北海道の自然モチーフにしたアートが飾られ、静かで落ち着いた空間だ。
宿泊客専用の大浴場やパウダールームも好評だ。
滞在中は、立地の良さを味方につけて、ホテルを拠点にぜひまち歩きを楽しみたい。「ソラリア西鉄ホテル札幌」から徒歩で行けるおすすめのスポットをピックアップ!
道を渡ればすぐ。ホテルに面する緑ゆたかな庭園。早朝や朝食後のちょっとした散歩におすすめ。
※北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)は、2025(令和7)年3月までリニューアル工事のため休館中
加藤料理長もおすすめの和洋菓子店「六花亭」。1933(昭和8)年創業。北海道帯広に本社を構える和洋菓子メーカー。代表的な「マルセイバターサンド」のほか、「ゆきやこんこ」「霜だたみ」など北海道らしい商品が並んでいる。北海道ゆかりの野草や花をモチーフとした包装紙のデザインは、北海道出身の画家・坂本直行氏によるもの。
現存する日本最古の時計塔。毎正時に鐘の音が鳴る。
草花や木々に囲まれた都会のオアシス「大通公園」。芝生や噴水の周りは市民がくつろぐ憩いのスポットになっている。1丁目から12丁目まで東西12ブロックに分かれていて、端から端までの距離は約1.5km。歩くと約30分かかるので要注意! 冬は「さっぽろ雪まつり」の会場になる。【ホテルから徒歩約15分】
大通公園から徒歩数分の商業施設「ル・トロワ」で営業する「どんぐり大通店」。札幌を中心に北海道で10店舗以上を展開。地元客で常ににぎわっている。「ちくわぱん」は札幌のソウルフード!
隣ではおむすび専門店「てづくりおむすびの店 どんぐり」が営業中。「ちくわぱん」でおなじみの「ツナサラダ」など、具材たっぷりの手作りおむすびがそろい、テイクアウトにぴったり。
「ソラリア西鉄ホテル札幌」以外に、京都(ソラリア西鉄ホテル京都プレミア三条鴨川)や東京(ソラリア西鉄ホテル銀座)など国内5カ所に展開する「ソラリア西鉄ホテル」。2023年8月にオープンした「ソラリア西鉄ホテル台北西門」ほか、韓国ソウルや釜山、タイ・バンコクなど海外にも相次いで出店を続けている。
さらに、2026年度冬には大阪に進出予定(「ソラリア西鉄ホテル大阪本町(仮称)」)。旅行の際は、ぜひ快適な「ソラリア西鉄ホテル」へ!
ソラリア西鉄ホテル札幌 料理長
専門学校卒業後、札幌駅直結の「JRタワーホテル日航札幌」で17年間勤務。三國清三プロデュースのフレンチレストラン「ミクニ サッポロ」で経験を積み、縁あって「ソラリア西鉄ホテル札幌」の料理長に就任した気鋭の料理人。