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空港を走るランプバスとは?
まちで見かける西鉄バスが
福岡空港でも活躍していた!

空港を走るランプバスとは? まちで見かける西鉄バスが 福岡空港でも活躍していた!

空港で飛行機に乗る時、送り迎えをしてくれる「ランプバス」。福岡空港内では路線バスと同じ姿の「西鉄バス」が飛行機と空港ターミナルの間を送迎している!

空港の飛行場の中を走る「ランプバス」は何が普通の路線バスと違うのか??いろいろと空港ならではの特別なことがある?!福岡空港の飛行場に隣接する「福岡空港営業所」で詳しい話を聞いた!

目次

ランプバスとは?

「ランプバス」とは、空港と飛行機を結ぶ搭乗橋(ボーディングブリッジ)が設置されていない場所に発着する飛行機へお客さまを送迎するためのバスのこと。西鉄は福岡空港の運営にも携わっているが、「ランプバス」に関しては、福岡空港を運営する福岡国際空港株式会社(FIAC)から委託を受け、空港内に「福岡空港営業所」を設置し、ランプバスを運行している。

こちらの写真は、福岡空港営業所からの眺め。なんと、ドアを開ければそこは多くの飛行機が!飛行機が近くて大迫力! 飛行機のエンジンがかかると音や熱風がすごい。

停まっているバスは普段まちで見る車両と変わらないけど、正面をよく見てみると……

バスが所属している営業所を示す部分には空港営業所の「空」印!
その下にある黄色いプレートも、ここの車両だけに付く特別な番号だ。

バスの行き先を示す方向幕には「伊丹」や「小松」など、福岡県外の都市名が表示されている!福岡市内や県内では見かけない場所ばかりが表示されていて、福岡県民にとってはなんだかおもしろい!

ランプバスの運行の流れ

飛行機の発着時間に合わせて運行されるランプバス。稼働するランプバスは通常、バスラウンジのそばで待機して、飛行機の出発や到着を待っている。

バスの配車を担当するのは西鉄バスの管理者で、バスの配車を担当する「統括」役やそのサポート役の「補佐」など数名が業務にあたる。

出発時は、搭乗開始時間の10分前に航空会社から連絡を受け、管理者が必要なバスの台数を確定。各運転士は配車指示を受けた後、バスラウンジでお客さまを乗せて駐機場へ。飛行機の近くまでお客さまを送り届ける。

到着したお客さまを乗せて降車場へ移動するランプバス

また、到着時は、バスラウンジに待機し、出発時と同様、航空会社から連絡を受け管理者が必要なバスの台数を確定、飛行機が駐機スポットに到着する前に、運転士は飛行機の近くへバスを移動する。飛行機から降りてくるお客さまを乗せ、降車場へ向けて出発。

1日のランプバスの運行表の一例。離発着の時刻の変更などが赤ペンで書き込まれている

福岡空港の搭乗ゲートでは、81番と82番から出発する飛行機がランプバスの出動対象となる。到着便と合わせると、ランプバスの出動対象となる便数は、1日約80便。朝7時から夜22時前までの間にフル稼働しているのだ。

飛行機の運航が乱れず定刻運航できるのが一番だが、なかなか予定どおりにいかないのが空港の難しいところ。福岡空港の天候や混み具合だけではなく、出発地の状況によっても運航に変更が生じることがあるからだ。

そうしたなか、安全・安心を遵守してスムーズにお客さまを送迎しなければならないランプバス。運行はかなり大変で、知識や経験だけではなく高い判断力や対応力も求められるのだ。

ランプバスの運行を管理する「福岡空港営業所」

駐機する飛行機が大迫力で見える「福岡空港営業所」。この営業所に在籍しているのは、所長の伊藤和博さんをはじめ、日々の運行を担う管理者13名のみ。いったい、どんな運転士が「ランプバス」を運転できるのか?どんな運営体制で営業しているのか? 助役の大崎喜洋さんに詳しい話を聞いた。

バスは全部で何台あるんですか?

大崎さん
大崎さん

現在は17台保有していて、通常はそのうち15台ほどで国内線・国際線のお客さまをお送りしています。残りの車両はメンテナンスに出すか、緊急時の代車に使うことにしています。

運転士は何名在籍しているんですか?

大崎さん
大崎さん

実はこの営業所には、バスを運転する運転士は在籍していないんですよ。福岡市内の各営業所から数名ずつ、派遣で来てもらっています。

そうなんですね!ランプバスは西鉄バスの運転士なら誰でも運転できるんですか?

大崎さん
大崎さん

いえいえ、誰でも運転できるというわけではないんです。福岡空港内を走るランプバスは、路線バスと同じ車両なのですが、通常の免許だけでは運転することはできません。福岡空港を管理する福岡国際空港株式会社(FIAC)が定期的に開催している「車両運転試験」に合格し、車両運転許可を受ける必要があります。

どんな試験があるんですか?

大崎さん
大崎さん

テストは空港内の規則や航空機の仕組みなど、空港で運転するために求められる知識が幅広く出題されます。例えば、空港基本施設の概要や航空機に関する車両運転規則など、普段は使わない専門用語がたくさん出てくるので勉強はけっこう大変ですね。

受験資格や条件はありますか?

大崎さん
大崎さん

西鉄の各営業所から希望者を募って試験を受けてもらいます。現在、試験に合格して空港内で運転できる資格を持つのは、福岡市内の自動車営業所に所属する約2,000名の運転士のうち私たち管理者を含めて合計172名です。勤務は2交代のシフト制で、1日に約30人の運転士がここで勤務することになります。

空港内は、一般道路より運転が難しい?!

ランプバスを運転できるのは、車両運転許可を受け、専門的な知識を持った特別な運転士のみ。とはいえ、信号機がひとつもない空港内で、ランプバスはどのようにして安全運行を維持しているのか? ランプバスを運転する運転士の藤木政仁さんに話を聞いた。

2015年5月に西鉄に入社し、金武営業所で約5年、高速営業所で約4年高速バスを運転してきた藤木さん。運転試験に合格したのは2016年。以来、8年間ランプバスの運行に携わっている。

試験を受けたきっかけは?

藤木さん
藤木さん

いろんな車両を運転できるようになりたくて、運転試験を受けてみることにしました。動機は人それぞれだと思いますが、他の運転士に聞いてみると、中には「飛行機が好き」「空港が好き」という方もたくさんいますね。

飛行場内の運転で、大変なことは?

藤木さん
藤木さん

空港や飛行機に関わる専門用語がたくさんあり、英語の略称も多いので最初は覚えるのが大変でした。運転中は各航空会社から直接指示を受けることもあるので、常に集中力をキープしておくのがマスト。待機中でも気が抜けません。

飛行機は定時運航が基本ですが、遅れや早着の場合、運転士には臨機応変な対応が求められます。さらに、飛行機の離着陸は風向きによって滑走路の向きが変わるので、常に周りの状況を注意して見ておかなければなりません。


バスラウンジから離れて駐機スポットに向かうと、管理者からは車両が見えなくなるので、運転士一人ひとりが責任をもって安全運行することが重要であり、難しいポイントでもあります。

ほかに路線バスや高速バスの運転と違うところは?

藤木さん
藤木さん

他の営業所と違うのは、飛行場内に入るので、乗務前には必ず保安検査を受けること。みなさんも飛行機に乗る前に保安検査を受けますよね。危険なものを持っていないか、私たち空港で働くスタッフもしっかりチェックをします。また、空港の立入パスをつけてベストを着用して入場するのも普段とは違うポイントですね。

ランプバスの運転経験が、路線バスの運転に生かせることは?

藤木さん
藤木さん

空港内では飛行機が最優先なので、周囲をよく観察しながら安全に運行する必要があります。また、信号のないなか、各自が責任を持って安全運行を守らなければいけないので、周囲への気配りや安全に対する意識が以前より高まりました。

各営業所から集まった精鋭の運転士たちが、信号もない場所で安全運転を遵守している福岡空港のランプバス。いつもは何気なく利用していたけど、そのすごさがわかると次に乗るのがぐっと楽しみになってくるはず!

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