Nishitetsu Online Magazine

西鉄の路線バスが都市高速を
シートベルトなしで
走れるのはどうして?

西鉄の路線バスが都市高速を シートベルトなしで 走れるのはどうして?

テレビ番組などでたまに紹介される、西鉄バスが都市高速を走る光景。

まちなかを走っている自動車やトラックなどは、シートベルト着用が義務付けされているにも関わらず、バスの車内ではシートベルト着用はおろか立ち乗りをしている……!? なぜこういった運行が許されているのだろうか。

目次

福岡都市高速を颯爽と走る西鉄の路線バス

西鉄バスが都市高速を走ることについては、メディアで取り上げられることが多く、他県から福岡に移住した人が語る「福岡で驚いたことあるある」でも、この話題は定番だ。

現在、都市高速を走る西鉄バスの路線は28路線。一日に1,500台を超える。都市高速で西鉄バスが連なって走る様子は「まさに福岡」と言える光景だ。

路線バス同士がすれ違うことも!

都市高速を走るバスの内部は、通常の路線バスとなんら変わりはない。座席にシートベルトはなく、吊り革を持った立ち乗りも可能だ。

なぜこんなことが可能なのか。その謎を探るべく、西鉄のバス事業を担っている、自動車事業本部の二人に話を聞いた。

なぜ立ち乗りのまま都市高速を走って良いのか

今回話を聞いたのは、自動車事業本部技術部車両係の係長を務める下河さん(右)、そして営業部の係長を務める藤野さん(左)だ。

どうして西鉄バスは、シートベルトの着用義務もなく、立ち乗りの状態のままでも 都市高速を走行可能なのでしょうか?

下河さん
下河さん

国土交通省で定める道路運送車両法で正式に認められていることに加えて、基準緩和認定を頂いているため都市高速でも路線バスの運行を行うことができます。

なぜ、バスだけがそのような規制緩和を受けられるのですか?

藤野さん
藤野さん

バスの利便性を守り、市民の生活に必要な交通サービスを支えるという目的のためですね。

利便性を守るために、規制緩和していると…?

下河さん
下河さん

もちろん、単に「便利だから」と、許されているわけではありません。守らなければならない条件があります。

その条件とは?

下河さん
下河さん

都市高速を走行する距離または時間が運行経路全体の1/2以下であることを条件として、車両に求められる重要な要件が2つあります。まずは都市高速内を、時速60km以下で走ることです。

都市高速って、たしか時速80km規制のところもありますよね。

下河さん
下河さん

時速80km規制の区域でも、時速60km以下で走行しなければなりません。そのため、80km規制の区域を走行する車両には「基準緩和認定用の赤三角」ステッカーと「運行速度60km/h以下」と書かれたステッカーを車両の前後に貼っています。

「運行速度60km/h以下」のステッカー

たしかに都市高速を走る西鉄バスで、スピードを出しているのは見たことがないですね。

下河さん
下河さん

万が一、60km/h以上の速度を出してしまった場合は、運転席にあるランプが光り、「ピーッ」と警告音が鳴るようになっています。

ええっ、バスにそんな機能まで付いているんですか。

下河さん
下河さん

デジタルタコグラフという、運行記録計が搭載されています。デジタルタコグラフは、急ブレーキ・急発進や速度超過等を検知し、安全に運行ができているか記録を行う装置です。運転士はそれぞれの閾値を超えないように注意しながら、安全運転を徹底しています。その他にも、十分な車間距離の確保にも安全上重要ですので、注意して運行しております。

なるほど。もう一つの条件はなんですか?

下河さん
下河さん

「ABS」(アンチロックブレーキシステム)という安全機能がついているバスでなければ、都市高速を走ることはできません。

車両にも規制があるんですね!「ABS」とは?

下河さん
下河さん

時速50~60kmの状態でブレーキを強く踏むとタイヤの回転が止まってしまい、スリップして操舵ができなくなることがあります。「ABS」はそういった、ブレーキ時のタイヤのロックを防ぐ機能です。

安全を守るたくさんのルールや機能があって、西鉄バスの都市高速での運行ができているんですね。

路線バスにシートベルトがない理由

そもそもなんですけど、都市高速に関わらず、なぜ路線バスにはシートベルトがないんでしょうか。

下河さん
下河さん

国土交通省の「道路運送車両の保安基準」によると、路線バスに関しては「運転者席及びこれと並列の座席」以外には、シートベルトを設置する義務はないんです。

バス停とバス停の間って、けっこう短いじゃないですか。多くのお客さまがご利用されますので、その間にシートベルトをつけて、外してというのは利便性が悪くなるという判断ですね。

たしかに、たくさんの人が短い距離で乗り降りするバス車内で、シートベルトの着用を待っていたら、運行に支障が出ますね。

下河さん
下河さん

あとは、そもそも路線バスがあまり速いスピードで走ることが想定されていないという点も要因ですね。

まあ、そもそも立って乗れるようにもなっているわけですしね。

下河さん
下河さん

立ち乗りに関しては、立って乗る席ということで「立席」と呼んでいます。こちらにも様々な安全対策があり、たとえば、0.14平米に1人が立席できる状態を定員とするように定めています。

なるほど。「立席」も席なんですね。

下河さん
下河さん

その0.14平米間隔で立った時に、必ずどこかに手すりなどのつかまる場所を用意しています。さらに、乗務員がお客さまに手すりにつかまることを促す、アナウンスのルールもあります。

床から天井も1.8m以上と決まっている

たしかに、乗車中はいつもアナウンスされていますね。

藤野さん
藤野さん

発車するときには「発車します」と言いますし、「ドアが開いてから席をお立ちください」というアナウンスもよく耳にすることがあるのではないでしょうか。

よく聞きます!なるほど、車両自体の安全性というハード面だけでなく、乗務員さんによるアナウンスというソフト面での対策も安全な運行につながっているんですね。

これからも都市高速に西鉄の路線バスが走り続けるために

こうしてお話を聞いてみると、安全って、乗務員と乗車したお客さまで作り上げていくものなのだと改めて気づきました。

下河さん
下河さん

そうですね。お客さまにご協力いただかないと「安全」は成り立ちません。乗車ルールを守っていただいている乗客の皆さんのおかげで、運行ができているといっても過言ではありません。

藤野さん
藤野さん

これからも安全な運行を続けるために、バスに乗る際には是非「席が空いていればなるべく着席して乗車する」「立ち乗りの際は手すりにつかまる」等、ご協力をお願いしたいと思います。

これからも安全にバスに乗車し、便利な都市高速バスを守りたいですね。ありがとうございました!

  • 下河 健太 さん
    下河 健太 さん

    西日本鉄道株式会社
    自動車事業本部 技術部 車両担当係長
    2012年入社。西鉄エム・テック㈱配属。約5年間バスの整備経験を積んだのち、2017年より技術部に異動しバス車両の管理全般を担当。2021年より現職。

  • 藤野 匡晃 さん
    藤野 匡晃 さん

    西日本鉄道株式会社
    自動車事業本部 営業部 営業第一担当係長
    2013年入社。自動車事業本部配属。
    大牟田地区、北九州地区の営業担当を経験したのち、2023年より現職。

Related article